「正社員型派遣」とは、正社員のように期間の定めがない雇用契約を派遣会社と結んで働くことを指します。
本記事では、正社員型派遣と通常の派遣・一般的な正社員の違いを見たうえで、正社員型派遣になる方法やメリット・デメリットなどを紹介します。
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正社員型派遣とは?
正社員型派遣とは、期間の定めがない雇用契約を派遣会社と結んで働くことで、「無期雇用派遣」や「常用型派遣」と呼ばれることもあります。
▼正社員型派遣の概要
雇用主 | 派遣会社 |
雇用期間 | 無期 |
給与形態 | 月給が多い |
福利厚生 | 手厚いことが多い |
通常の派遣のほとんどは「時給制」のため、勤務日数によって毎月の給料が増減する点がデメリットとして挙げられます。
これに対して、正社員型派遣は一般的な正社員と同じように「月給制」が取られる傾向にあり、一定の給料を毎月受け取ることが可能です。さらに、ボーナスが支給され、福利厚生についても派遣社員と比較して手厚い傾向にあります。
ボーナスや福利厚生の内容は企業の経営状況によって異なりますが、正社員型派遣は通常の派遣社員よりも待遇面でメリットが多いのが特徴です。
派遣社員の福利厚生については下記の記事で詳しくお伝えしているので、併せてご覧ください。
正社員型派遣の働き方
正社員型派遣の働き方には、主に以下の2つのパターンがあります。
- 派遣先で働く
- 派遣会社内で働く
1つ目は、通常の派遣社員と同じように「派遣先」で働くパターンです。
派遣会社の正社員として業務にあたるため、派遣社員をマネジメントする責任者など重要なポジションを任されるケースがあります。また、通常の派遣社員と比較して、同じ職場で長い期間働ける可能性があるため、知識やスキルを身に付けやすいのもメリットです。
一方で、派遣先ではなく派遣元である「派遣会社」で働くパターンもあります。業務内容の例としては、「営業活動」「派遣社員の採用・管理(コーディネーター)」などが挙げられます。
ほかにも、「通常時」は派遣会社で勤務して、「繁忙期」には派遣先にヘルプで入るパターンも考えられます。
正社員型派遣とほかの雇用形態との違い
正社員型派遣・派遣社員・紹介予定派遣・一般的な正社員の違いは下表のとおりです。
正社員型派遣 | 派遣社員 | 紹介予定派遣 | 一般的な正社員 | |
---|---|---|---|---|
雇用主 | 派遣会社 | 派遣会社 | 派遣会社 | 就業先の企業 |
雇用期間 | 無期 | 有期 | 有期 | 無期 |
給与形態 | 月給が多い | 時給が多い | 時給が多い | 月給 |
福利厚生 | 手厚いことが多い | 派遣会社の規定による | 派遣会社の規定による | 手厚いことが多い |
上記は、あくまで一般的な傾向であり、雇用主によって規定が異なります。特に給与や福利厚生などの待遇は、企業の業績に左右される点に注意してください。
それを踏まえたうえで、以下では「正社員型派遣」と「派遣社員・紹介予定派遣・一般的な正社員」の違いを詳しく見ていきます。
派遣社員との違い
正社員型派遣と通常の派遣社員の違いは、「雇用期間」にあります。派遣社員は、雇用期間の定めがある(有期)ので、契約が満了すると次の仕事を探さなければなりません。
これに対して、正社員型派遣は雇用期間の定めがない(無期)なので、同じ雇用主のもとで長期的に働けます。
また、派遣社員は「時給制」が多く、出勤日数によって毎月の給料が増減する一方、正社員型派遣は「月給制」で、月ごとに一定額を受け取れる点が違います。
紹介予定派遣との違い
最終的な雇用主が異なるのが、正社員型派遣と紹介予定派遣の違いです。
紹介予定派遣とは、派遣期間が終了した後、「派遣先」に直接雇用されることを前提とした派遣です。これに対して、正社員型派遣は「派遣会社」と雇用契約を結ぶので、派遣先の正社員にはなれません。
そのため給与や待遇などは、正社員型派遣は「派遣会社」、派遣期間が終了した後の紹介予定派遣は「派遣先」の規定に従います。
一般的な正社員との違い
正社員型派遣と一般的な正社員との違いは、「雇用主」が異なることにあります。正社員型派遣は、実際に働く場所(就業先)が変わっても雇用主は「派遣会社」ですが、一般的な正社員は「就業先の企業」が雇用主です。
ただし、正社員型派遣は一般的な正社員と同じように雇用期間に期限がないうえ、「月給制」が取られることが多く、ボーナスも支給される傾向にあるのも同じです。福利厚生についても、企業の規定によって異なりますが、両者とも一般的には手厚く受けられます。
なお、正社員と派遣社員の待遇の違いについては、下記の記事で詳しくお伝えしています。
正社員型派遣として働く3つのメリット
正社員型派遣として働くメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 収入が安定する
- 福利厚生が充実する傾向にある
- 同じ職場で長く働きやすい
ここでは、それぞれについて詳しく見ていきます。
メリット1. 収入が安定する
通常の派遣よりも正社員型派遣のほうが、収入が安定しやすいメリットがあります。一般的に、通常の派遣の給与形態は「時給制」なのに対し、正社員型派遣の場合は「月給制」です。
時給制の場合、「体調不良などで欠勤する」「繁忙期のピークを過ぎる」などが理由で出勤日が減ると給与も減少します。一方で月給制であれば、基本的には同じ金額の給与が毎月支払われます。
また、派遣社員の場合は、派遣先が替わるタイミングで待機期間があると、その間は出勤日がなく収入を得られません。正社員型派遣であれば、切り替えのタイミングで「別の仕事」や「研修」などの機会が与えられ、収入が途切れることがなくなります。
メリット2. 福利厚生が充実する傾向にある
正社員型派遣になると、通常の派遣よりも手厚い福利厚生を受けられる傾向があります。ボーナスや退職金が支払われたり、「住宅手当」や「リフレッシュ休暇」を受けられたりと、一般的な正社員と同じ待遇になるためです。
ただし、福利厚生の規定は企業によって異なります。そのため、正社員型派遣になることで、自分が求める福利厚生を受けられるかどうかは、事前によく確認しておくことをおすすめします。
なお、下記の記事では、派遣社員と福利厚生の関係を詳しくお伝えしているので、併せてチェックしてみてください。
メリット3. 同じ職場で長く働きやすい
正社員型派遣は通常の派遣と比較して、長い期間、同じ職場で働き続けられる可能性があります。派遣社員は、原則的に「同じ事業所で3年を超えて働けない」とされています。
(労働者派遣の期間)
引用:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Govポータル
第三十五条の三 派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。
上記は派遣の3年ルールといわれ、派遣先企業に対し、派遣社員を正社員として雇用するよう促すものです。ただ、派遣先企業の業績などによっては正社員登用が叶わず、派遣社員が仕事を失うリスクがありました。
正社員型派遣であれば、3年以上同じ職場で働くことが可能なので「慣れた職場で長い間働き続けたい」と考える方には、安心できる働き方といえます。
正社員型派遣として働くデメリット
ここまでは、正社員型派遣として働くメリットを挙げてきましたが、以下のようなデメリットもあります。
- 希望する給与を稼げない可能性がある
- 働き方の自由度が制限される
この2つについて、詳しく見ていきましょう。
デメリット1.希望する給与を稼げない可能性がある
正社員型派遣は「月給制」で収入が安定するものの、手取りが減る可能性があります。
派遣社員の場合、「高時給の仕事に応募する」など戦略を立てれば、一時的に収入をアップさせることが可能です。一方で正社員型派遣は、仕事内容によって月給が大きく増減することが少なく、給与が一定額になるのが一般的です。
ただし、安定して収入を得られれば生活の不安を減らせるので、経験を積んだうえで、昇格制度がある企業への転職などを目指すのも一手です。
デメリット2.働き方の自由度が制限される
2つ目のデメリットは、通常の派遣よりも「働き方の自由度が低くなりやすい」ことです。
派遣の場合には「職種」「勤務日数」「1日の労働時間」などを、契約ごとに選択できます。一方で正社員型派遣の働き方は、一般企業の正社員と同じように、基本的には雇用主である企業に決定権があります。
労働者の希望を尊重してくれる企業はもちろんありますが、自身で決められる派遣社員と比較すると、働き方の自由度が制限されるのが現実です。
以上のことから、収入の安定や福利厚生の充実よりも、「ライフスタイルに合わせて柔軟に働くこと」を優先させたい場合は、正社員型派遣ではなく、通常の派遣社員として働き続ける選択もあります。
正社員型派遣になるための2つの方法
正社員型派遣として働き始めるには、以下の2つの方法があります。
- 正社員型派遣の求人に応募する
- 契約している派遣会社に申し入れる
ここでは、それぞれについて詳しく見ていきます。
方法1. 正社員型派遣の求人に応募する
1つ目の方法は「正社員型派遣の求人に応募する」ことです。
派遣会社のなかには「通常の派遣」のほかに、「正社員型派遣」の募集をしているケースがあるので、採用されれば正社員型派遣として働き始められます。
なお、選考の過程では、書類選考・面接・適性検査などがおこなわれるのが一般的です。このため、入念な準備をしておきましょう。
方法2. 契約している派遣会社に申し入れる
正社員型派遣になるための2つ目の方法は、「通常の派遣社員として働いた後に、派遣会社に申し入れる」ことです。
派遣社員など、契約期間に定めがある労働者のために、「無期転換ルール」というものがあります。これは、有期の労働契約が5年を超えて更新された場合、労働者側から申し込むことで、無期の労働契約に転換できるルールです。
○無期転換ルールとは、平成24年8月に成立した「改正労働契約法」(平成25年4月1日施行)により、対応が必要になった雇用に関するルールのことです。
○有期労働契約が同一の使用者との間で通算5年を超えて更新された場合は、有期契約労働者(契約社員やアルバイトなどの名称を問わず、雇用期間が定められた労働者)の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されます。
○無期転換の申込みがあった場合、申込時の有期労働契約が終了する日の翌日から無期労働契約となります。引用:無期転換ルールハンドブック|厚生労働省
つまり、同じ派遣会社で5年以上働き続けることが明確になった時点で自ら申し込めば、残りの契約期間が終了した際に無期雇用の派遣社員へ転換されます。
なお、無期転換ルールの詳細は下記の記事をご参照ください。
正社員を目指すなら派遣社員として経験を積む選択もある
「収入の安定」「福利厚生の充実」などのために正社員型派遣になりたいと考えているのであれば、派遣社員として経験を積んだ後、正社員を目指すのも1つの手です。
派遣社員はさまざまな職場を経験できるので、自分の得意分野を見つけられます。得意な仕事でスキルを磨けば、転職の強みにしたり、派遣先から直接雇用の提案を受けたりすることが可能です。
企業が採用活動をおこなうには多くのコストを要するため「派遣社員として働いている方のなかから、優秀な人を正社員として迎えたいと」考える企業は一定数あります。
一方で、派遣社員として一生懸命働いていれば、必ず正社員になれるとは限りません。しかし、可能性はゼロではないので、まずは職場に貢献する方法を考えたうえで、自身がキャリアアップをする戦略を立ててみてください。
なお、派遣社員から正社員を目指す方法は下記の記事でお伝えしているので、併せてご覧ください。
まとめ:正社員型派遣など自分に合った働き方を選ぼう
この記事では、正社員型派遣になるための方法や、メリット・デメリットなどをお伝えしました。
正社員型派遣は通常の派遣社員と比べて、給料や福利厚生などが手厚いですが、「働き方の自由度」の面では派遣社員が勝ることがあります。
本記事の内容を参考にしながら、自分にはどのような働き方が適しているか、この機会に考えてみてください。
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