「正社員登用の話はどこへ……?」非正規雇用で働く方が一度は抱く疑問ではないでしょうか。がんばって働いているのに、会社から正社員登用の具体的な話が出ない、あるいは話が進んでいるように見えても、結局うやむやになってしまう。そんな状況に陥り「騙された」と感じてしまうのは無理もありません。しかし、まずは現状を冷静に分析し、法的な側面や企業側の背景を理解することが大切です。この記事では、落胆しないための対策や対処法を詳しく解説します。
なぜ「正社員登用で騙された」と感じることが起こるのか?
なぜ企業は「正社員登用の匂わせ」とも思えるようなことをするのでしょうか。その背景には、いくつかの理由が考えられます。
まず挙げられるのは、即戦力となる優秀な人材を非正規雇用で雇用し、様子を見るというケースです。能力を見極めたうえで、正社員として長期的に雇用するかどうかを判断します。正社員に比べて、非正規雇用者の人件費は抑えやすいです。そのため、業績が悪化すると、コストを削減するために正社員登用を先延ばしにせざるを得ない企業も存在します。
このように、企業の業績などによって、正社員登用が実現しないケースがあります。特に近年は、人手不足に悩んでいるなか、思いがけず経営状況が不安定になる場合もあり、正社員登用に関する約束が守られないことがあります。
正社員登用制度の実態
「正社員登用制度あり」という求人を目にする機会は度々ありますが、その実態は企業によって異なります。そのため、まずは企業の就業規則や雇用契約書に、正社員登用制度に関する明記があるかどうかを確認しましょう。制度に関する記載がない場合は、口約束だけで正社員登用を期待することはおすすめできません。
また、制度がある場合でも、登用条件が明確に定められているかどうかを確認することが重要です。勤務年数、業務実績、資格取得など、具体的な条件が設定されている場合は、それを満たすように努力する必要があります。
正社員登用には、面接や試験などの選考プロセスが必要となる場合があります。選考プロセスが明確に示されている場合は、事前に準備をして臨むことが大切です。「正社員登用制度あり」という言葉だけを鵜呑みにするのではなく、制度の詳細や登用条件をしっかりと確認し、企業とのコミュニケーションを密にすることが重要です。
正社員登用に関する違法行為の判断基準
正社員登用とうたって実際には登用しない行為が、すべて違法となるわけではありません。しかし、以下のようなケースでは、違法行為と判断される可能性があります。
- 採用時に「正社員登用を前提とする」と明示されていたにも関わらず、実際には登用制度が存在しない
- 正社員登用を期待させておいて、契約期間満了時に一方的に契約を終了する場合
- 正社員登用をちらつかせ、従業員に対してパワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどをおこなった場合
悪質と判断できそうな場合は、以下のような対処法を検討してみましょう。
- 正社員登用に関する会話の記録、メール、契約書、就業規則など、証拠となるものを集める
- 人事担当者や労働組合などに相談する
企業の対応に納得できない場合は、労働基準行政の相談窓口に相談してみるのも一案です。法令違反についての相談だけでなく、法令には直接違反しない労働条件の変更などについても相談できます。窓口がいくつかあるので、以下であてはまる相談先を探してみてください。
正社員登用を成功させるためにできること
正社員登用を成功させるためには、会社任せにするのではなく、自分自身で積極的に行動することも重要です。
- 正社員として活躍するために必要なスキルや知識を明確にし、目標を設定して、スキルアップに励む
- 積極的に業務に取り組み、成果を出すことで、会社からの評価を高める
- 上司と積極的にコミュニケーションを取り、自身のキャリアプランや正社員登用への意欲を伝える
- 業務に関連する資格を取得することで、自身のスキルアップをアピールし、正社員登用の可能性を高める
これらに加え、社内のさまざまな部署の人と交流し、情報交換をおこなうことで、正社員登用に関する情報を得やすくなります。
まとめ:正社員登用で後悔しないために、主体的に行動をしよう
「正社員登用で騙された」と感じる状況は、誰にとっても辛いものです。ですが、まずは冷静に現状を分析し、法的な側面や会社側の思惑を理解することが大切です。この記事で解説した対処法や対策を参考に、主体的に行動することで、後悔のないキャリアを築きましょう。正社員登用を成功させるためには、会社任せにするのではなく、自分自身で積極的に行動することが何よりも重要です。スキルアップ、積極的な業務への取り組み、上司とのコミュニケーション、資格取得などできることから始め、自身のキャリアを切り開いていきましょう。