「正社員として採用されたのに、試用期間中はアルバイト扱い。これって普通なの?」このような疑問をお持ちではありませんか?正社員としての入社が決まったとしても、企業によっては試用期間を設けている場合があり、その期間中の給与や待遇が、アルバイトと同等になるケースも存在します。この記事では、正社員の試用期間の扱いについて、法律的な側面から、企業側の意図、そして労働者として知っておくべき権利まで解説します。
試用期間中にアルバイトと同じ待遇になるのは違法?
労働基準法では、試用期間中の労働者も、正社員と同様に保護されるべきであると定められています。
- 労働条件の明示義務:企業は、労働時間、給与、休日などの労働条件を明示する義務がある(労働基準法第十五条)
- 企業は、最低賃金法にもとづき、最低賃金以上の給与を支払う義務がある(最低賃金法第四条)
- 一定の条件を満たす労働者(週20時間以上勤務など)は、社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険)に加入させる義務がある(厚生労働省)
- 継続勤務6ヵ月以上、かつ全労働日の8割以上出勤した労働者には、有給休暇を付与する義務がある(労働基準法第三十九条)。
つまり、試用期間中であっても、これらの法律は適用されるため、企業がこれらの義務を怠ることは違法行為にあたる可能性があります。
ただし、試用期間中の給与は、本採用後の給与よりも低く設定することが認められています。これは、試用期間中に労働者の能力や適性を評価するため、一定の範囲内で給与を減額することが合理的であると考えられるためです。その結果、アルバイトと同等の待遇になる可能性があります。しかし、その場合でも、最低賃金以上を支払う必要があることを覚えておきましょう。
試用期間とは?
試用期間とは、企業が従業員の能力や適性を見極めるために設ける期間です。本採用を前提としつつ、従業員が企業の文化や業務に適合するかどうかを判断するために設けられます。
▼企業が試用期間を設ける主な目的
- 採用面接だけでは判断できない、実務能力や企業文化への適応性を見極める
- 採用後のミスマッチを防ぎ、早期退職による企業側の損失を抑制する
- 新入社員に対する教育・研修期間を設け、スムーズな業務開始を促す
試用期間は、法律で定められたものではなく、各企業が独自に設定できます。一般的には3ヵ月から6ヵ月程度が相場ですが、業種や職種、企業の規模によって異なります。稀に1年程度の試用期間を設けている企業もありますが、長すぎる試用期間は、従業員の不安を煽り、モチベーション低下につながる可能性もあるため、注意が必要です。
試用期間中の給与・待遇など事前に確認すべきポイントと注意点
試用期間中の給与や待遇について、事前に確認しておくことは重要です。入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、以下のポイントを必ず確認しましょう。
給与に関する確認
- 試用期間中の給与額:本採用後の給与と比べて、どれくらい減額されるのか?
- 給与形態:月給、日給、時給など、給与の計算方法
- 残業代:残業代の有無、計算方法、支払い条件など
- 交通費:交通費の支給有無、支給上限など
- 給与明細:給与明細の発行方法、記載内容など
待遇に関する確認
- 社会保険:健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の加入状況
- 有給休暇:有給休暇の付与条件、取得方法など
- 福利厚生:住宅手当、家族手当、社員割引など、利用できる福利厚生
- 勤務時間:1日の労働時間、休憩時間、勤務時間帯など
- 休日:週休何日制か、祝日や年末年始休暇の有無など
これらの情報は、雇用契約書に記載されています。入社前に雇用契約書を必ず確認し、不明な点や疑問点があれば、企業に質問するようにしましょう。口頭での説明だけでなく、書面で確認することが重要です。
「試用期間中はアルバイト扱い」と告げられたときの注意点
「試用期間中はアルバイト扱い」という言葉には曖昧な部分が多く、企業によって解釈が異なる場合があります。具体的な労働条件を必ず確認しましょう。また、労働条件通知書の発行を求めることは重要です。労働条件通知書は、労働条件を明示する書面であり、企業には発行義務があります。口頭での説明だけでなく、書面で労働条件を確認しましょう。
試用期間中の解雇が認められるケースと不当解雇の見分け方
試用期間中の解雇は、本採用後の解雇理由よりも広い範囲で認められるます。しかし、企業が自由に解雇できるわけではなく、客観的に合理的な理由と社会通念上相当であることが必要です。
▼試用期間中の解雇が認められるケース
- 業務に必要な能力が著しく不足しており、改善の見込みがない場合
- 企業文化や業務への適性が著しく欠けており、改善の見込みがない場合
- 採用時に虚偽の申告をしていた場合
- 無断欠勤や遅刻が多い、指示に従わないなど、勤務態度が著しく悪い場合
これらのケースは、客観的な証拠や記録にもとづいて判断される必要があります。単に「気に入らない」といった個人的な感情や主観的な判断だけでは、解雇は認められません。
試用期間中に不当な扱いを受けたときの相談窓口
試用期間中に不当な扱いを受けたと感じたら、1人で悩まずに、専門機関に相談しましょう。
▼相談窓口
- 総合労働相談コーナー:労働問題に関するさまざまな相談を受け付けている
- 労働基準監督署:労働基準法違反に関する相談や監督指導をおこなっている
- 法テラス(日本司法支援センター):相談窓口や一般的な法制度情報を提供している
不当な扱いを受けた場合は、証拠(メール、契約書、給与明細、録音データなど)をできる限り集めておきましょう。いつ、誰に、どのような不当な扱いを受けたのか、詳細な記録を残しておくこともポイントです。
まとめ:試用期間中のアルバイト扱いに関する不安を解消し、安心して働くために
この記事では、正社員の試用期間におけるアルバイト扱いについて、さまざまな角度から解説しました。試用期間は、企業と従業員がお互いを見極めるための期間であり、決して企業が一方的に有利な立場にあるわけではありません。労働者も自身の権利を理解し、必要に応じて専門機関に相談することで、安心して働くことができます。あなたの権利を守り、より良い労働環境を手に入れるために行動を起こしましょう。