この記事では、派遣社員として働く女性へ向けて、妊娠した際の手続き、職場での対応などについて解説します。産休・育休の取得方法や、働きながらの環境整備など、安心して出産・育児に臨むための参考として、ぜひ最後までお読みください。
派遣社員が妊娠したらどう対応するのが正解?
派遣社員が妊娠した際に知っておくべき基本的な知識と、取るべきステップを解説します。
妊娠が分かったら最初にすべきこと
妊娠が判明したら、まずは健康管理を最優先に考える必要があります。早めに派遣会社に報告し、派遣先との調整や産休・育休の取得について相談をおこないましょう。産婦人科の医師の指導を受け、必要な検査や健診を定期的に受けることも大切です。
確認すべき派遣会社の規則
妊娠がわかったら、派遣会社の妊娠・出産に関する規則を確認しましょう。産休・育休の取得条件、手続きの流れ、必要な書類、給付金の有無など、具体的な情報を把握することが重要です。また、派遣先の企業との調整が必要な場合もありますので、派遣会社を通じて確認をおこないます。これらの情報を知ることで、安心して出産・育児に臨むことができます。
派遣社員の妊娠に関する権利を知ろう
派遣社員も正社員と同様に、産休・育休を取得する権利が法律で保障されています。労働基準法にもとづき、妊娠中の重労働や長時間労働の禁止、必要な休憩の取得が認められています。
(産前産後)
第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
②使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
下記の育児・介護休業法でも妊娠・出産による不利益な扱いは禁止されています。
下記の育児・介護休業法でも妊娠・出産による不利益な扱いは禁止されています。
(育児休業の申出)
第五条 労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業(中略)をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、その養育する子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約(中略)が満了することが明らかでない者に限り、当該申出をすることができる。
このような自身の権利を守るためにも、派遣会社や職場とのコミュニケーションを密にし、必要なサポートを受けられるようにしましょう。
派遣会社に妊娠を報告するタイミングと方法
妊娠が判明したら、早めに派遣会社に報告することが大切です。報告は直接の面談や電話、メールなど、派遣会社の指定する方法に従っておこないます。この際、医師の診断書を提出することが求められることもあります。
タイミングとしては、妊娠初期の体調不良が落ち着き、安定期に入る前後が望ましいです。早期に報告することで、派遣会社は適切な配慮をおこない、働きやすい環境を整えることができます。
妊娠を理由に契約を解除されたらどうする?
妊娠を理由に派遣契約を解除された場合は、不当な扱いとして法的措置を取ることができます。各都道府県の労働局や弁護士などに相談し、適切なアドバイスを受けることも可能です。
ただし、最初から法的措置を取るのではなく、まずは派遣会社との話し合いをおこなうことが重要です。話し合いで解決できない状況をできるだけ避けるためにも、妊娠前から派遣会社との信頼関係を築いておくことが大切です。
派遣社員でも受けられる社会保障はある
派遣社員は正社員と比べて不安定な立場にあると感じることがあるかもしれませんが、社会保障の面では同様のサポートを受けることができます。以下では、産前産後休暇や育児休業の手続きのについて説明します。
産前産後休業を取得するための手続き
産前産後休業(産休)は出産予定日の6週間前から取得可能で、出産後は8週間の休暇が労働基準法で保障されています。妊娠がわかった時点で派遣会社に相談し、いつから取得するかや必要な書類を確認することが大切です。
育児休業を取得するための手続き
育児休業(育休)は、原則、子どもが1歳になるまで取得でき、申請は出産予定日の1ヵ月前までにおこなう必要があります。会社の規定によって手続き手順など異なる場合があるため、早めに確認しましょう。育休中は、育児休業給付金を受け取れるため、派遣会社を通じて手続きをおこないます。
ただし、いずれも利用するためには満たすべき条件があるので、事前に確認しておくと安心です。
妊娠を理由に派遣契約を終了する際の注意点
派遣社員として働く女性が妊娠した場合、契約終了に際して知っておくべき手続きや通知期間、失業給付の取り扱いについて解説します。
契約終了の手続きと必要な通知期間
派遣社員が妊娠を理由に契約を終了する場合、法律で定められた通知期間を守る必要があります。通知期間は、通常は契約書に記載されているため、まずは契約内容を確認しましょう。
もし契約書に記載がない場合は、民法の規定により、少なくとも2週間前に通知する必要があります。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:民法|e-Govポータル
ただし、一方的に契約終了を申し出るのでなく、派遣会社のルールを守り話し合いをすることが重要です。
妊娠が理由の退職後の失業給付について
妊娠を理由に退職しても、「就職しようとする意思」と「いつでも就職できる能力がある」状態かつ、就職活動をおこなっている場合には、所定給付日数を限度として失業給付を受けられます。
ただ、医師からの勧告や体調不良など、退職後引き続き30日以上職業に就くことができない場合は給付の対象外と判断されるため、延長を申請できるケースがあります。そのため、もしすぐに働くことが難しいのであれば、ハローワークに相談し適切な手続きをおこなうことが大切です。
参考:よくあるご質問(雇用保険について)|ハローワークインターネットサービス
妊娠後のキャリアと復職に向けて
妊娠を機に、派遣社員としてのキャリアや復職について考えることは重要です。以下では、産後の復職計画とキャリアプランニング、職場復帰と働き方の選択肢について詳しく解説します。
産後の復職計画とキャリアプランニング
産後の復職計画を立てる際には、派遣会社との連携が不可欠です。復職後にどのような仕事を希望するのか、どのようなスキルを身につけたいのかを派遣会社と相談し、計画的にキャリア形成を目指すことができます。
復職後の職場復帰と働き方の選択肢
復職後の職場復帰に際しては、派遣会社との相談しながら、自身のライフスタイルや子育てとの両立を考えた働き方を考えましょう。また、復職にあたっては、職場の理解と協力も得られるよう、事前にコミュニケーションを取っておくと安心できます。
まとめ:派遣社員も安心して妊娠期間を過ごそう
派遣社員として働く女性が妊娠した際には、まずは派遣会社への報告が重要です。妊娠にともなう権利を理解し、産休・育休の取得や労働条件の調整など、適切な手続きをおこなうことで、安心して妊娠期間を過ごすことができます。契約解除や復職に関する注意点も把握し、産後のキャリアプランを立てることが大切です。この記事を参考に、一歩踏み出して派遣会社に相談し、安心して出産・育児に専念できる環境を整えましょう。