なぜ派遣社員の給料は高いの?平均時給や手取りを増やす4つのコツも紹介

「派遣社員の給料は、どれくらいなのだろう?」このような疑問を持つことはありませんか?

派遣社員として働くのであれば、少しでも高い給料をもらえる職場をできるだけ選びたいものです。そこで本記事では、派遣社員の平均給与を調査しました。

給料の高い派遣の仕事も併せて紹介しますので、「派遣社員として働きたい」「派遣の給料をアップしたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

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派遣社員の平均時給は「約1,900円」

2023年の8月に、厚生労働省が発表した「令和3年度(2021年度) 労働者派遣事業報告書」によると、派遣労働者が1日8時間働いた場合の平均日給は「15,698円」でした。

これを以下の計算で時給に換算すると、平均時給は「1,962円」です。

  • 平均時給:約1,900円(日給15,698円÷8時間=1962円)

また、上記を基本として月給・年収を算出すると以下となります。

  • 月給:約31万円(日給15,698円×20日=313,960円)
  • 年収:約380万円(月給313,960円×12ヵ月=3,767,520円)

※月間の出勤時間を20日として算出

なお、派遣労働者の賃金の過去5年間の推移は、下記のとおりです。

対象年度平均日給前年度との比較
令和3年(2021年)度15,698円+108円
令和2年(2020年)度15,590円+356円
令和元年(2019年)度15,234円+346円
平成30年(2018年)度14,888円+1,057円
平成29年(2017年)度13,831円+1,207円

参考:労働者派遣事業の事業報告の集計結果について|厚生労働省

令和2年から令和3年は、他の年に比べて増加した金額が少なめです。あくまで推測の範囲にはなりますが、感染症が流行し緊急事態宣言が度々発令されたことが関連している可能性があります。

以上から、世の情勢の影響を受ける可能性は多少あるものの、年々増加する傾向にあるため、今後も派遣社員の給料は上がっていくと見込めます。

【職種別】派遣社員の平均時給

ここで、派遣社員の平均時給を職種別に紹介します。

株式会社リクルートの調査機関が毎月発表している「2023年11月度 派遣スタッフ募集時平均時給調査」によると、派遣社員の職種ごとの平均時給は以下のとおりです。

大分類小分類:平均時給
オフィスワーク系・営業事務:1,620円
・企画・マーケティング:1,909円
営業・販売・サービス系・接客・ショールーム・カウンター窓口:1,513円
・営業・企画営業:1,724円
製造・物流・清掃系・製造・生産(その他):1,364円
・清掃・洗浄・クリーニング:1,471円
IT・技術系・運用管理・保守:2,262円
・SE・プログラマー・ネットワークエンジニア:2,646円
クリエイティブ系・編集・制作・校正:1,849円
・Web関連:1,969円
医療介護・教育系・学校事務・その他教育系:1,468円
・看護師・准看護師:2,147円

上記はあくまで一例の紹介ですが、時給が高い仕事に全体に共通しているのは「専門スキル」が求められることです。

例えば、IT・技術系の仕事にはプログラミングなどのスキルが必要です。ほかにも、看護師・准看護師などの仕事に就くためには国家資格を取得しなければなりません。

これらの専門スキルを持った人材は限られているため、給与が高くなる傾向があります。

【地域別】派遣社員の平均時給

地域によっても、派遣社員の平均時給に差があります。2023年11月度における三大都市圏の平均時給は以下のとおりです。

  • 関東圏:1,764円
  • 東海圏:1,468円
  • 関西圏:1,472円

参考:2023年11月度 派遣スタッフ募集時平均時給調査|株式会社リクルート

上記を見ると、「東海・関西」よりも「関東」のほうが、時給の高い仕事に就ける可能性が高いと考えられます。

ただ、前述のとおり職種によって平均時給が異なるので、地域だけで判断するのではなく総合的に確認しましょう。

派遣社員と正社員の給料を比較

厚生労働省や国税庁が発表した資料を調査したところ、派遣社員と正社員の平均年収は以下のとおりです。

項目平均年収
派遣社員約380万円(※参考1)
正社員523万円(※参考2)

※参考1:令和3年度(2021年度) 労働者派遣事業報告書|厚生労働省

※参考2:令和4年分 民間給与実態統計調査|国税庁

以上から、派遣社員と正社員の年収の差は約140万円あるといえます。

一方で、派遣社員や正社員などを含む「一般的労働者」の年代階級別の月給は以下のとおりです。

年齢階級月給
20〜24歳218,500円
25〜29歳251,200円
30〜34歳281,000円
35〜39歳312,500円

参考:令和4年(2022年)賃金構造基本統計調査

上記のなかで最も月給が高い35〜39歳の時給と、前述した派遣社員の時給を以下で比較するとほとんど同じでした。

  • 「派遣社員」の平均時給:約1,900円(月給313,960円÷160時間=1,962円)
  • 「一般労働者(35〜39歳)」の平均時給:約1,953円(月給312,500円÷160時間=1,953円)

※1ヵ月の労働時間を、1日8時間を20日勤務(=160時間)として算出

以上のことから、一般的な年収で比較すると派遣社員より正社員の方が高いですが、年代によっては正社員より派遣社員の方が平均より高い傾向にあるといえます。

派遣社員の給料が高いと言われる3つの理由

派遣会社が派遣社員の給料を高く設定できる理由として、下記の3つが考えられます。

  1. 採用コストを最小限にしているから
  2. 人材育成コストが低いから
  3. 賞与分の金額が月給に上乗せされていることがあるから

では、それぞれの理由について詳しく見ていきます。

理由1. 採用コストを最小限にしているから

派遣社員の給料を高くできる1つ目の理由は、採用コストを抑えられるからです。企業が新しく社員を採用する場合、通常は以下のような業務が発生します。

  • 求人情報をサイトなどに掲載する
  • 応募者の情報を確認する
  • 採用候補者と面接する
  • 採用する方を選考する

企業によって採用を外注するケースはありますが、一般的には通常の業務と並行して自社で対応するため、多くの労力や時間を要します。

一方、派遣社員を採用する場合は、工程の一部を派遣会社に任せられます。その結果、限られたリソースであっても、自社が採用で重要視したい以下などに注力することが可能です。

  • 希望する人材に求める条件を明確にする
  • 求職者が求める条件・待遇をすり合わせる

このようにして削減したコストは、派遣社員の給与に上乗せされるケースがあります。

理由2. 即戦力を採用する傾向があるから

採用の傾向として、正社員は長期的な教育を前提にすることに対し、派遣社員は即戦力を求める場合があります。

例えば新卒社員は、大学を卒業したばかりの人材が対象なので、ビジネスマナーや仕事への取り組み方などを学べる研修を設けるケースが一般的です。

一方で派遣社員は、社会人経験や類似した職業での勤務実績がある人材を対象とする場合があるため、その現場におけるルールの共有などが教育のメインです。

以上のことから、派遣社員は比較的短い時間で現場に慣れる期待ができます。その結果、派遣会社は派遣社員の育成コストを削減し給与に上乗せできる場合があるというわけです。

理由3. 賞与分を時給に上乗せしている場合があるから

派遣社員は、時給に賞与分が増額されるケースがあります。

派遣社員の給料は、基本給(時給または月給)に交通費や手当・残業代なども上乗せして支給されるケースが一般的です。

つまり、派遣会社の規定で賞与の支給が決められていれば毎月の基本給に追加されるので、受け取る給料が高くなります。

ただ、賞与の支給は企業の業績に左右されるため、必ず支払われるわけではないことを覚えておきましょう。

派遣社員が給料をアップする4つの方法

派遣社員が給料をアップする方法として、以下の4つが挙げられます。

  1. スキルや資格を活かせる仕事を探す
  2. 派遣会社に昇給できないか交渉する
  3. 正社員を目指す
  4. 時給が高い地域へ引っ越す

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

方法1. スキルや資格を活かせる仕事を探す

給料は、専門スキルが求められる仕事ほど給料が高くなるケースが一般的です。そのため、自分の持っているスキルを活かせる仕事を見つけることは、給与アップの近道といえます。

以下に、給料が高い派遣社員の仕事の一例を紹介します。

カテゴリ職種:時給
IT・技術系・SE・プログラマー・ネットワークエンジニア:2,646円
・運用管理・保守:2,262円
医療介護・教育系・看護師・准看護師:2,147円
クリエイティブ系・Web関連:1,969円
・編集・制作・校正:1,849円
オフィスワーク系・営業事務:1,620円
・企画・マーケティング:1,909円

参考:2023年11月度 派遣スタッフ募集時平均時給調査|株式会社リクルート

もし専門スキルを持っていないのであれば、新しく身に付けることも1つの方法です。

例えばプログラミングは、書籍やWeb記事・動画コンテンツなどを参考に独学で勉強したり、職業訓練校や専用のスクールなどで学んだりすることが可能です。

そうしてプログラミングのスキルを取得すれば、「システムエンジニア」や「Web制作」などの仕事にチャレンジできます。

もちろん、学んだ後に現場で即戦力として活躍できるとは言い切れませんが、応募時に自分をアピールする材料を増やせます。

方法2. 派遣会社に昇給できないか交渉する

派遣社員として長く働いている場合には、派遣会社に給与アップの交渉をする方法もおすすめです。

たとえ専門的なスキルや資格を持っていなくても、「長期にわたって派遣先へ貢献した」事実は、交渉材料になります。

ただ、勤続期間が長いだけでは交渉がスムーズに進まない可能性があります。派遣先や派遣会社に貢献した事実がなければ、相手が納得しにくいからです。

  • 派遣先から信頼を得て、仕事を任せてもらえるようになった
  • 同じ現場の後輩を指導できるようになった

このように具体的な実績を伝えながら、派遣会社へ交渉しましょう。

方法3. 正社員を目指す

前述のとおり、全体の平均年収で比較すると派遣社員よりも正社員の給与が高い傾向にあります。そのため、正社員を目指す選択は給料アップにつながります。

派遣社員から正社員になる主な方法は、以下の2つです。

  • 派遣先や派遣会社などで正社員として登用される
  • 転職活動をして正社員になる

今勤務している職場で正社員になりたい意志を伝えると、歓迎されるケースはあります。何気ない雑談で「人手が足りない」などが話題に出た際などに、思い切って相談してみましょう。

なお、下記の記事では、派遣社員から正社員に登用される方法をお伝えしていますので、併せてご覧ください。

もし、最初から正社員を目指すことはハードルが高いのであれば、「無期雇用派遣」や「紹介予定派遣」など、派遣社員としてより良い条件で働く選択をすることも一手です。

派遣社員として経験を積んでからキャリアを考え直す方法もあるので、焦らずできることから挑戦してみましょう。

方法4. 時給が高い地域へ引っ越す

前章でお伝えしたように、派遣社員の平均時給は地域によって差があり、関東・東海・関西のなかでは「関東」が最も高い傾向にあります。

そのため、住む場所を変えられるのであれば、関東圏に引っ越したほうが、給与の高い仕事に就ける可能性が高まります。

ただ、時給の高い地域では、家賃などの物価も高い傾向があるので注意が必要です。支出が想定以上に増えれば、給料がアップしても手元に残るお金が少なくなります。

そこで、働く場所を選ぶ際は、「収入」と「支出」のシミュレーションを綿密におこなっておくと安心です。

別の派遣会社へ登録を検討する選択もある

派遣社員として給料を上げるためには、「別の派遣会社に登録してみる」ことも1つの選択です。

そもそも派遣社員の給料は、派遣会社と派遣先の契約によって決まります。そのため、同じ現場でも、派遣会社によって給与や待遇などが異なるケースがあります。

また、派遣会社によって方針や研修制度が違うため、場合によっては、以下のように派遣社員のままキャリアやスキルをアップすることが可能です。

  • 持っているスキルを活かせる派遣先を紹介してもらえれば、派遣社員のままでも高時給を目指せる
  • 派遣会社などに研修制度が整っていれば、働きながら資格取得を目指せる場合がある

ただ、派遣会社へ一方的に理想の条件を求めるだけでは、条件に折り合いがつかず契約までに時間を要すケースがあります。

お互いに納得できる条件で契約することを目指し「自分が派遣会社へどのように貢献できるか」を考えながら探しましょう。

まとめ:派遣社員として満足できる給料とやりがいを手に入れよう

派遣社員は、条件によって高時給で働くことが可能です。給料は生活するために重要な要素なので、自分が納得できる条件で働ける職場を探しましょう。

また、派遣社員には働き方を自由に選べるメリットがあります。

自身のライフスタイルに合わせて、労働時間や勤務場所などを柔軟に調整できると、プライベートをより充実させることが可能です。

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