派遣社員の方が副業をしようと考えたときに、まず疑問を持つのが「派遣社員は副業をしても良いの?」ということです。
結論、法律上は副業しても問題ありません。本記事では、その根拠をお伝えした上で、派遣社員の副業の選び方や注意点などを紹介します。
これから副業を始めようと思っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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【結論】法律上、派遣社員は副業してもOK
日本の法律では、派遣社員が副業をすることに制限はありません。
労働法には、明確に副業を禁止する条文はなく、副業をするか否かは「労働者の自由」とされています。
ただし、副業をする際には「所定の労働時間外に行うこと」「本業の業務遂行に支障をきたさないこと」「競業避止義務に反しないこと」など、一定の条件があります。
就業規則で副業が制限されている場合は懲戒処分のリスクも
注意していただきたいのは、「法律」では副業を禁止されていませんが、派遣会社や派遣先の「就業規則」で副業が制限されている場合があるということです。
就業規則は労働契約の一部として適用され、労働者はこれを遵守する義務があります。
例えば、派遣会社の就業規則で「本業の業務遂行に支障をきたさない範囲での副業は認めるが、その際は事前に会社へ申告すること」と明記されている場合には、副業を開始する前に、会社へその旨を申告しなければなりません。
その申告を怠ると就業規則違反となり、懲戒処分の対象となる可能性があります。そのため、副業を考え始めたら、まずは派遣会社や派遣先の就業規則をチェックするようにしてください。
派遣社員の副業にはどのようなものがある?
派遣社員がよくおこなう副業の種類としては、以下の5つがあります。
- アルバイト・パート
- フリーランス(業務委託)
- 個人事業
- 投資
- ポイ活
順番に見ていきましょう。
1. アルバイト・パート
まず1つ目は、「アルバイト・パート」です。
本業の就業時間の前後や休日に、アルバイト・パートをすることで収入を増やせます。
アルバイト・パートには、長期間同じ仕事をする「継続バイト」と、短期で仕事をする「単発バイト」があります。
2. フリーランス(業務委託)
「フリーランス(業務委託)」の業務の内容は幅広く、下記のような種類があります。
- プログラミング
- Webデザイン
- Webライティング
- Web広告運用
- SNS運用代行
- 動画編集
- コンサルティング
- オンライン秘書
- 営業代行
3. 個人事業
また、副業として「個人事業」をおこなう方もいます。
事業の具体例としては、「せどり」「アフィリエイト」「コンテンツ販売」などがあり、近年はYouTuberやライバーとして「動画配信」をする方も増えてきました。
4. 投資
「投資」も副業の一種です。
一口に投資といっても、「株式投資」や「FX」、「不動産投資」など多くの種類がありますので、取り組む際は、それぞれの期待できる利回りと生じるリスクをよく確認するようにしてください。
5. ポイ活
最後に紹介するのは、「ポイ活」です。
「アンケートモニター」や「ポイントサイト」などを活用してポイントを貯めることで、そのポイントを使って買い物ができます。
派遣社員におすすめの副業の選び方8選
派遣社員が副業を決める際は、以下の8つの観点から選ぶことで、自分に合った副業を見つけやすくなります。
- 時間と場所の自由度で選ぶ
- 自身のスキルや専門性で選ぶ
- 単発・短期間で終わるかで選ぶ
- 収入面で選ぶ
- 自身のライフスタイルや目標で選ぶ
- 個々の興味や趣味を活かせるかで選ぶ
- 長期的にスキルアップを見込めるかで選ぶ
- 確定申告が容易かで選ぶ
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1. 時間と場所の自由度で選ぶ
派遣社員が副業を選ぶ際、「時間と場所の自由度」は非常に重要なポイントといえます。
派遣社員は勤務先や勤務時間が変わる可能性があり、副業はその変化に柔軟に対応できるものにすると、無理なく続けられるためです。
具体的には、「在宅ワーク」や「リモートワーク」でできる副業は、時間と場所の制約を受けにくいため、派遣社員におすすめです。
「オンラインでの英会話指導」「プログラミング」「ライティング」などは、在宅・リモートで仕事ができるので、副業の選択肢の1つとして考えてみてください。
2. 自身のスキルや専門性で選ぶ
副業は、自身のスキルや専門知識を活かした仕事ができると、高い収入を期待できます。
例えば、プログラミングやWebデザインのスキルがあるのであれば、それを活かして「フリーランス」として活動すると、たくさんの仕事が舞い込んでくる可能性があります。
また、自身の学歴や資格を活かせる「家庭教師」も、時給の高い仕事の1つです。
このように、副業を選ぶ際は自身の強みを活かすことを意識してみてください。
3. 単発・短期間で終わるかで選ぶ
一時的に金銭が必要な場合には、「単発・短期間の副業」を選ぶのも一手です。
単発・短期間の仕事の例としては、「イベントスタッフ」や「データ入力業務」などがあります。
4. 収入面で選ぶ
副業を選ぶ際は「“副業にかけられる時間”と“得られる収入”が釣り合っているか」を考慮しましょう。
当然のことながら、自分の貴重な時間と労力をかけて副業をする以上、それが適正な対価をもたらしてくれることが望ましいです。
収入を増やすことだけに焦って、対価が見合わない副業をすることは避けてください。
5. 自身のライフスタイルや目標で選ぶ
副業を長続きさせるためのコツは、自身のライフスタイルや目標にフィットした仕事を選ぶことです。
例えば、家族との時間も大切にしたいと考えているのなら、在宅でできる仕事を選ぶと、家庭との両立がしやすくなります。
また、将来的に独立を考えている場合は、「金銭面」よりも「経験できる業務」で仕事を選ぶと、今後スキルや経験を活かすことが可能です。
このように、自分の生活リズムや将来の目標に合わせて副業を選んでみてください。
6. 個々の興味や趣味を活かせるかで選ぶ
趣味を活かした副業は楽しみながらできるため、ストレスを感じにくく、長期間続けやすいもの。
カメラが好きなら「写真撮影」、ものづくりが好きなら「ハンドメイド商品の製作・販売」など、趣味を活かせる副業がないか考えてみてください。
7. 長期的にスキルアップを見込めるかで選ぶ
何かしらのスキルを身につけられる副業は、今後のキャリアアップにつながります。
例えば、副業で「プログラミング」「データ分析」「マーケティング」など、多くの企業からニーズのあるスキルを磨いておくと、本業の転職を考え始めた際に有利に働きます。
そのため、スキルアップして自己の市場価値を高められるような副業は非常におすすめです。
8. 確定申告が容易かで選ぶ
「確定申告の容易さ」も、副業選びでは一考すべきポイントです。
特にはじめて確定申告をするときは、手続きに苦戦してしまうこともあり、もしも間違いがあると追徴課税のリスクもあります。
そこで、最初は比較的簡単に確定申告ができる副業を選ぶと、税額計算の手間が少なくなり、スムーズに副業に取り組むことが可能です。
具体的には、クライアントが源泉徴収してくれる案件などは、税額の計算が比較的簡単になります。
結局、迷ったらどのように選べばいい?
「どうしても、どの副業をすればいいのか迷ってしまう……」という場合には、「稼ぎたい金額」で考えることがおすすめです。
具体的には、以下の表を参考に副業の種類を選んでみてください。
稼ぎたい額 | おすすめの副業 |
---|---|
~10万円/月 | アルバイト・パート、ポイ活 |
~30万円/月 | フリーランス |
30万円/月~ | 個人事業、投資 |
まず、稼ぎたい額が「月に10万円以内」の場合は、「アルバイト・パート」や「ポイ活」がおすすめです。
これらの副業は、簡単に始められて、誰でもすぐに稼ぐことができます。ただし、収入は高くても月に10万円程度が限界です。
そこで、「月10万円以上稼ぎたい」という方は、「フリーランス」の副業をおすすめします。何かしらのスキルを身に付けて、案件を獲得できるようになれば、アルバイト・パート、ポイ活よりも高い時給で働けます。
また、スキルをさらに磨いたり一部の業務を外注したりすることで、20万、30万円といった月収を狙うことも可能です。
そして、「月に30万円以上」の収入を目指したい場合には、「個人事業」や「投資」に取り組むことをおすすめします。これらの副業は、少ない労働で大きな収益を得られる可能性を秘めているためです。
ただし、稼げるようになるまでの難易度は高く、投資の場合は元手が減るリスクがある点は覚悟しなければなりません。
派遣社員と副業の税金・確定申告の注意点
副業をするにあたっては、税金に関する知識を身につけておく必要があります。
特に多くの方が苦戦するのが、1年間の所得から所得税の額を計算する「確定申告」です。
そこでここでは、副業で確定申告が必要となるケースをお伝えした上で、確定申告の手続きや注意点などを見ていきます。
副業で確定申告が必要となるケース
国税庁のホームページでは、「給与所得者で確定申告が必要な人」として、下記のように記載されています。
2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
3 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
出典:国税庁|給与所得者で確定申告が必要な人
簡単に言うと、「派遣社員で年間20万円以上の副業収入がある」場合には、確定申告をしなければなりません。
例えば、個人でWebデザインの仕事を副業として行い、年間で30万円を稼いだ場合には、翌年に確定申告を行い、所得税を納める必要があります。
確定申告の手続きと必要書類
確定申告は、必要な書類を揃えた上で、e-Taxを活用して手続きをすることが一般的です。
e-Taxとは「国税庁が提供する国税の電子申告・納税システム」で、これを活用することで自宅から確定申告ができます。
「所得税の申告書」「副業収入の証明書類」や「給与所得の源泉徴収票」などを準備した上で、e-Tax上で必要な情報の入力・送信をすることで、確定申告は完了します。
派遣社員と副業の税金対策
副業からの給与所得や事業所得を確定申告する際は、「収入」だけでなく「必要経費」も把握し、申告することが重要です。
そもそも、所得税は「1年間の総収入」から「必要経費」などを引いた金額に税率をかけて算出されます。
つまり、必要経費を申告しないとその分だけ税額が高くなってしまうので、漏れなく申告するようにしてください。
例えば、フリーランスのデザイナーとして副業を行っている場合、パソコンやデザインソフトの購入費、自宅の一部を仕事場として使用している場合の家賃などを必要経費として申告することが可能です。
会社に副業がバレる原因と対策
会社に副業がバレてしまう原因の多くは、「住民税の通知書や納付書が会社に届いてしまうこと」です。
届かないようにするためには、確定申告書で「住民税を自分で納付」を選択するようにしてください。
また、顔出しでYouTuberをしていたり、本名でアフィリエイトをしている場合にも、会社の人に見つかる恐れがあります。
そのため、バレたくないのであれば、本名や顔は出さずに活動するようにしてください。
ただし、そもそもバレたら良くない状況で副業をすること自体おすすめできません。
「事前に副業の許可を取る」もしくは、就業規定で副業NGであれば「職場を変えてから副業に取り組む」ことを推奨します。
派遣社員の副業で注意すべき9つのリスクとその対策
派遣社員が副業をすることには、残念ながらリスクもあります。
ここでは、「法律・就業規定」「税金」「健康」の3つの観点から、9つのリスクをお伝えします。
法律・就業規定に関するリスク
派遣社員の副業で「法律・就業規定」に関するリスクが生じる場面は、以下の4つです。
- 就業規則で副業が禁止されている場合
- 秘密保持義務の違反
- 労働時間が法令を超過する可能性
- 副業先と派遣先が競合関係にある場合
それぞれの詳細を見ていきましょう。
1. 就業規則で副業が禁止されている場合
派遣先の就業規則で禁止されているのに副業をしてしまうと、処罰を受けるリスクがあります。
そのため、事前に就業規則を確認し、副業が禁止されていないかどうか把握しておくようにしてください。
もしも禁止されていた場合には、無理を承知で派遣先や派遣元の会社に相談をしてみると、条件付きなどで許可を得られることもあります。
2. 秘密保持義務の違反
副業をする際に派遣先の情報を利用してしまうと、「秘密保持義務の違反」に抵触する恐れがあります。
もちろん、副業で秘密保持契約を結んでいる場合、副業するなかで知り得た情報を本業に漏らさないよう、細心の注意が必要です。
3. 労働時間が法令を超過する可能性
副業を始めると、「もっと稼ぎたい」という思いから、どうしても労働時間が長くなりがちです。
あらかじめ労働基準法などの法令をよく確認しておき、違反しないように労働時間を適切に管理するようにしてください。
4. 副業先と派遣先が競合関係にある場合
派遣先と競合関係にある会社を副業先として選ぶのは割けておいたほうが安全です。
「競合でも営業をしているなんて……」「競合に情報を漏らされる可能性がある」などと、双方から信頼を失う可能性があります。
税金に関するリスク
税金に関するリスクとしては、以下の3つがあります。
- 税金計算や確定申告の誤り
- 副業による雇用保険の影響
- 副業による扶養からの外れ
ここでは、それぞれのリスクとその対策を見ていきます。
1. 税金計算や確定申告の誤り
税金計算や確定申告に誤りがあると、後から追加で納税をする必要があります。
そのため、自分で確定申告の知識を身につけるか、自信がなければ税理士などの専門家に相談するようにしてください。
2. 副業による雇用保険の影響
副業の収入が一定額を超えると、場合によっては雇用保険の対象となることがあります。
事前に雇用保険の制度を確認しておくようにしてください。
3. 副業による扶養からの外れ
副業の収入額によっては、扶養から外れる可能性があります。
扶養のままでいたい場合には、収入の限度額を把握した上で、それを超過しないように綿密な計画を立てるようにしてください。
健康に関するリスク
最後に、健康に関するリスクとして以下の2つを紹介します。
- 本業のパフォーマンス低下
- 副業での過度なストレス
1. 本業のパフォーマンス低下
副業に力を入れすぎると、疲労がたまって本業のパフォーマンス低下につながります。副業の時間管理を徹底し、本業に影響を及ぼさないように注意してください。
高いパフォーマンスを維持するためには、本業中も副業中も、適切な休息をとりながら仕事をすることが大切です。
2. 副業での過度なストレス
副業の仕事内容が自分に合っていないと、大きなストレスを感じることがあります。
副業は自身の能力や好みに合わせて選び、仕事量も自分がこなせる範囲に抑えるよう心がけてください。
派遣社員が副業を考える前に見直すべき3つのこと
副業を考える前に派遣社員が見直しておくべきことは、以下の3つです。
- 派遣先の就業規則
- 自己のスキルセットと市場価値
- 税金と社会保険料の影響
ここでは、それぞれの項目について詳しく見ていきます。
1. 派遣先の就業規則
副業を始めるにあたっては、まず派遣先の就業規則を読んで、「副業が許可されているかどうか」を確認しておくようにしてください。
派遣先企業によっては、就業規則で副業が禁止されていることもあり、その場合、無断で副業をすると契約解除などのリスクが生じます。
2. 自己のスキルセットと市場価値
副業を始める前には、自分のスキルや知識、経験を見直し、それらが副業の市場でどのように評価されるかを理解しておくことをおすすめします。
これは、自身のスキルや経験によって、「最適な副業の種類」や「収入の見込み」が大きく変わるためです。
例えば、プログラミングのスキルを持っているなら、フリーランスのプログラマーを副業にすることで高収入を得られる可能性があります。
3. 税金と社会保険料の影響
副業をする際は、「税金」や「社会保険料」への影響を確認しておくことも重要です。
副業によって収入が一定額を超えると、税率が変わったり社会保険料が増えたりする可能性があります。
以下のサイトで税率や保険料の目安を確認しておきましょう。
派遣社員の副業で稼げる上限は?
副業で稼げる金額の上限は、特に法律で定められていません。
そのため、法律上はいくら稼いでも問題ありませんが、副業の収入が増えるとそれにともなって所得税の税率や社会保険料も上昇する点には注意が必要です。
このように収入が増えると、税金や社会保険料が増えることは覚えておいてください。
まとめ:目的に合った副業を探そう
本記事でお伝えしたとおり、派遣社員が副業をすることに法律上の制限はありません。
ただし、派遣会社や派遣先の「就業規則」で副業が制限されている場合もありますので、この点は事前に確認するようにしてください。
副業にはさまざまな種類がありますが、どの副業をするのか迷ってしまう場合は、「稼ぎたい額」で考えるのがおすすめです。
稼ぎたい金額ごとにおすすめの副業の種類は、下記のとおりです。
稼ぎたい額 | おすすめの副業 |
---|---|
~10万円/月 | アルバイト・パート、ポイ活 |
~30万円/月 | フリーランス |
30万円/月~ | 個人事業、投資 |
ご自身が副業をする目的に合わせて、仕事を探してみてください。
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