試用期間は正社員じゃないの?雇用形態・待遇・解雇のリスクを解説

「試用期間って、給料や待遇が正社員と違うの?」「試用期間中に解雇されることってあるの?」 このような疑問や不安を抱えている方は少なくありません。この記事では、試用期間について、雇用形態、待遇、解雇のリスク、そして万が一のトラブル時の対処法などをまとめました。 試用期間に対する漠然とした不安を解消し、安心して仕事に取り組むためにもぜひ参考にしてください。

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試用期間中の雇用形態と待遇

まずは、試用期間中の雇用形態と待遇について解説します。

雇用形態

試用期間中の雇用形態は、原則として正社員です。 ただし、雇用契約書には、試用期間である旨が明記されている必要があります。 また、試用期間中の労働条件(給与、労働時間、休日など)も、正社員と同様に、労働基準法などの法令を遵守する必要があります。

例えば、正社員の給与が月額30万円の場合、試用期間中の給与を著しく下げることは、原則として認められません。 ただし、試用期間中の給与を、正社員よりも若干低く設定することは、合理的範囲内であれば認められる場合があります。 この場合も、雇用契約書に明確に記載する必要があります。

社会保険や有給休暇などの待遇

試用期間中の待遇も、原則として正社員と同様です。 社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険)への加入義務があり、有給休暇も、勤続期間に応じて付与されます。 ただし、企業によっては、試用期間中は、一部の福利厚生(住宅手当、家族手当など)を支給しない場合があります。 この場合も、雇用契約書に明確に記載する必要があります。

例えば、試用期間が3ヵ月の場合、その期間中も社会保険に加入する必要があり、6ヵ月継続勤務すれば、有給休暇が付与されます。 また、試用期間中も、労働時間や休日に関する規定は、労働基準法にもとづいて適用されます。

給与

試用期間中の給与は、正社員よりも低く設定される場合があります。 しかし、その減額幅は、合理的な範囲内であることが前提です。 あまりにも低い給与で労働を強いることは、最低賃金法に違反する可能性があります。 また、試用期間が終わった後に、正社員としての給与が大幅に上がることを前提に、試用期間中の給与を低く抑えることも問題とされる場合があります。

試用期間とは?

試用期間とは、企業が従業員を正式に雇用する前に、その能力や適性を見極めるために設ける期間です。 一方、従業員にとっても、実際に働いてみて企業文化や仕事内容が自分に合っているかを確認する期間となります。 つまり、試用期間は、企業と従業員がお互いを見極め、ミスマッチを防ぐための重要な期間といえます。

例えば、採用面接だけでは判断できない、実際の業務遂行能力、協調性、企業文化への適応度などを、試用期間を通じて評価します。企業は、試用期間中の従業員の勤務態度、スキル、コミュニケーション能力などを観察し、正社員として雇用する価値があるかどうかを判断します。

試用期間は、正社員としての雇用を前提とした期間

試用期間は、アルバイトやパートのような非正規雇用として働くこととは異なります。 試用期間は、正社員としての雇用を前提とした期間であり、企業は、試用期間終了後に、原則として正社員として雇用することを予定しています。 試用期間は、あくまで「見極め」のための期間であり、最初から正社員として雇用する意思がないのに、試用期間を設けることは原則認められません。

ただし、試用期間中の雇用契約は、通常の正社員よりも解雇の可能性が高いという特徴があります。 これは、企業が、従業員の能力や適性を見極めるという目的を達成するために、一定の範囲で解雇の自由を認めているためです。 しかし、後述するように、試用期間中の解雇も、客観的に合理的な理由が必要であり、不当な解雇は認められないのが原則です。

試用期間の長さ

次に、使用期間の長さを法律上の制限と一般的な期間の2つの視点で解説します。

法律上は期間の定めはない

試用期間の長さに、法律上の制限はありません。 つまり、企業の判断で試用期間の長さを設定できます。 しかし、あまりにも長い試用期間は、従業員の立場を不安定にするため、社会通念上相当とはいえません。

一般的な期間は3ヵ月~6ヵ月

試用期間の長さは、企業の業種や職種、従業員の経験などによって異なりますが、3ヵ月から6ヵ月程度が一般的です。 この期間は、企業が従業員の能力や適性を見極められるだけでなく、従業員にとっても企業文化や仕事内容を理解できる期間といえます。

長すぎる試用期間は違法の可能性がある

試用期間が長すぎる場合、違法と判断される可能性があります。 また、試用期間を何度も延長することも、従業員の立場を不安定にします。例えば、試用期間を6ヵ月設けた後、さらに6ヵ月延長するというケースは、正当な理由がない限り、違法と判断される可能性があります。 試用期間を延長する場合は、従業員にその理由を明確に説明し、同意を得る必要があります。

試用期間中の解雇

試用期間中に解雇をする場合は、合理的な理由が必要です。ここで、注意点と併せて紹介します。

通常の解雇よりは広い範囲で認められる

試用期間中の解雇は、通常の解雇よりも広い範囲で認められています。 これは、企業が、従業員の能力や適性を見極めるという目的を達成するために、一定の範囲で解雇の自由を認めているためです。ただし、試用期間中の解雇も、客観的に合理的な理由が必要であり、不当な解雇は許されません。。

解雇理由の例

試用期間中の解雇理由として、よく挙げられるのは、能力不足、適性不足、経歴詐称などです。 能力不足とは、従業員が、業務に必要なスキルや知識を持っていない場合のことです。また適性不足とは、従業員が、企業文化や仕事内容に合わない場合を指し、 経歴詐称とは、従業員が、履歴書や職務経歴書に虚偽の記載をした場合を指します。

例えば、プログラマーとして採用された従業員が、基本的なプログラミングスキルを持っていない場合や、営業職として採用された従業員が、顧客とのコミュニケーションをまったく取れない場合などは、能力不足として解雇される可能性があります。 

認められない解雇とは

試用期間中の解雇であっても、不当解雇は許されません。 例えば、従業員の性別、年齢、国籍、信条などを理由とした解雇や、労働組合への加入や活動を理由とした解雇は、不当解雇と判断されます。 また、従業員の能力不足や適性不足が、企業側の教育不足や指導不足に起因する場合も、解雇は不当と判断される可能性があります。

具体的には、女性従業員が妊娠したことを理由に解雇したり、労働組合に加入した従業員を解雇したりすることは、不当解雇となります。 また、十分な研修期間を設けずに、従業員の能力不足を理由に解雇することも、不当解雇と判断される可能性があります。

解雇時は、原則として30日前に通知が必要

試用期間中の解雇であっても、原則として、企業は従業員に対して、30日前に解雇予告をする必要があります。

(解雇の予告)

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

引用:労働基準法|e-Govポータル

解雇予告をしない場合は、30日分の給与(解雇予告手当)を支払う必要があります。 ただし、試用期間開始から14日以内であれば、解雇予告は不要です。

第二十一条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

一 日日雇い入れられる者

二 二箇月以内の期間を定めて使用される者

三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者

四 試の使用期間中の者

引用:労働基準法|e-Govポータル

例えば、試用期間が3ヵ月の場合、企業は、従業員を解雇する場合、少なくとも30日前に解雇予告をする必要があります。 解雇予告をしない場合は、30日分の平均賃金を支払う必要があります。

試用期間中に退職したいときの注意点

使用期間中に辞めたくなったときに注意すべきことがあります。1つずつ見ていきましょう。

法的にはいつでも辞めることができる

試用期間中であっても、従業員は退職することができます。 これは、憲法で保障された「職業選択の自由」にもとづく権利です。 ただし、退職する際には、企業に対して、退職の意思を伝える必要があります。例えば、試用期間が1ヵ月の場合でも、従業員は、企業に対して退職の意思を伝えれば退職することができます。

退職の申し出は退職日の2週間前までにおこなう

民法では、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の申し出から2週間後に、雇用契約が終了すると定められています。

期間の定めのない雇用の解約の申入れ)

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する

引用:民法(明治二十九年法律第八十九号)|e-Govポータル

したがって、試用期間中に退職する場合は、退職日の2週間前までに、企業に退職の意思を伝える必要があります。例えば、3月31日に退職したい場合、3月17日までに、企業に退職の意思を伝える必要があります。

できるだけトラブルを避ける方法

試用期間中に退職する場合でも、できる限り円満退職を目指しましょう。 退職理由を正直に伝え、引き継ぎを丁寧におこなうなど、誠意ある対応を心がけることが大切です。 トラブルなく退職することで、今後のキャリアにも良い影響を与える可能性があります。例えば、退職理由を「企業文化が合わない」と正直に伝え、後任者への引き継ぎを丁寧におこなうことで、円満退職を実現することができます。 

まとめ:試用期間を賢く過ごして、理想のキャリアを築こう

試用期間は、企業と従業員がお互いを見極めるための大切な期間です。 試用期間中に、自分の能力や適性を最大限に発揮し、企業文化や仕事内容を理解することで、正社員としてのキャリアをスタートさせることができます。もし、試用期間中に不安や疑問が生じた場合は、積極的に情報を収集し適切な対処をおこないましょう。 試用期間を賢く過ごすことで、理想のキャリアを築いていくことができるはずです。