正社員からパートに降格した!違法性の有無と取るべき対応を解説

長年、正社員として会社に貢献してきたのに、突然「パートにならないか」と打診されたら、誰でも戸惑い、将来への不安を感じるはずです。育児や介護などの事情がある場合、会社側の意図を理解できる部分もあるかもしれませんが、納得できない理由での降格は生活に影響を与えます。

この記事では、正社員からパートへの降格という状況に直面した際に、まず何をすべきかや権利を守るためにできることを詳しく解説します。冷静に状況を判断し、自分にとって最善の選択肢を見つけるためにも、ぜひ最後までお読みください。

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正社員からパートへの降格は適法?違法?

正社員からパートへの降格が必ずしも違法とは限りません。しかし、その背景や理由によっては違法となるケースも存在します。ここでは、適法となるケースと違法となるケースを具体的に解説します。

 適法なケース例:本人から申し出があった場合

適法となるケースとして挙げられるのは、従業員本人が降格を申し出た場合です。例えば、「育児や介護などの事情で勤務時間を短縮したい」「責任の重い業務から離れたい」といった理由で、自らパートへの転換を希望することがあります。この場合、会社と従業員の間で合意が成立していれば、降格は適法とみなされます。

重要なのは、あくまで本人の自由な意思にもとづく合意であることです。会社からの圧力や誘導によって合意した場合、後々問題となる可能性があります。

適法なケース:人事異動にともなう降格

今までの実績や従業員の能力などをもとに、企業が適した役職への異動を決めるケースもあります。企業には従業員の配置などを決定する「人事権」があるため、降職もしくは降格を行う場合があります。

適法なケース:懲戒処分を受けた

雇用条件通知書や雇用契約書、会社の就業規則などに、懲戒処分として降格が明記されており、かつ、従業員に重大な規律違反や業務怠慢があった場合に限り、降格が認められることがあります。ただし、この場合でも、降格処分が客観的に見て合理的であり、社会通念上相当でなければなりません。

参考:労働契約の終了に関するルール|厚生労働省

違法となるケース:一方的な降格

従業員の同意なしに、会社が一方的に降格を決定することは、原則として違法です。就業規則に降格に関する規定があったとしても、従業員の同意なしに降格させることは、労働契約法に違反する可能性があります。

(労働契約の原則)
第三条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

引用:労働契約法|e-Govポータル

また、軽微なミスを理由に、長年勤続してきた従業員をパートに降格させるような場合、その降格は社会通念上相当とはいえず、違法とみなされる可能性があります。上司からのパワーハラスメントや嫌がらせによって、従業員が精神的に追い詰められ、降格を余儀なくされた場合の降格も、違法とみなされる可能性があります。

正社員からパートへの降格を打診されたら、まず確認すべきこと

もし会社から正社員からパートへの降格を打診されたら、感情的にならず、まずは冷静に状況を把握することが重要です。以下の点を確認しましょう。

降格の理由を明確にしてもらう

会社は、なぜあなたをパートに降格させたいのか、その理由を具体的に説明する義務があります。口頭だけでなく、書面で理由を提示してもらうように求めましょう。曖昧な表現や抽象的な理由ではなく、具体的な事実にもとづいて説明されているかを確認してください。

例えば、「勤務態度が悪い」という理由であれば、具体的にどのような点が問題なのか、過去の事例や具体的な指摘内容を提示してもらいましょう。

降格後の労働条件を確認する

パートになった場合の給与、勤務時間、休日、職務内容など、具体的な労働条件を確認しましょう。給与がどれだけ減額されるのか、社会保険や雇用保険の加入資格はどうなるのか、有給休暇の扱いはどうなるのかなど、詳細な情報を把握することが重要です。減給は労働基準法によって範囲が決められています。

(制裁規定の制限)
第九十一条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

引用:労働契約法|e-Govポータル

給与については、時給単価だけでなく、月々の勤務時間や残業の有無などを考慮して、年収ベースでどれだけ減額されるのかを把握しましょう。

就業規則を確認する

会社の就業規則には、降格に関する規定が記載されている場合があります。降格の要件や手続き、降格後の労働条件などが明記されているかを確認しましょう。就業規則の内容が、法律や労働契約に違反していないかどうかも確認する必要があります。

就業規則は、通常、社内のイントラネットや人事部に保管されています。閲覧を希望する場合は、会社に申し出てください。

正社員からパートへの降格を拒否することは可能

会社からの降格の打診に納得できない場合は、拒否することができます。ただし、拒否する際には、慎重な対応が必要です。

降格を受け入れない意思を明確に伝える

会社に対して、降格を受け入れる意思がないことを明確に伝えましょう。口頭だけでなく、書面で伝えることが望ましいです。書面には、降格理由に納得できないこと、降格によって生活に支障が出ることを具体的に記載しましょう。

降格理由に対する反論を準備する

会社が提示した降格理由に対して、具体的な反論を準備しましょう。事実と異なる点や、誤解にもとづいている点があれば、根拠となる証拠を提示しながら反論することが重要です。例えば、会社が「勤務態度が悪い」という理由で降格を打診してきた場合、過去の評価や同僚からの証言などを集め、勤務態度に問題がないことを証明する必要があります。

専門家に相談する

会社との交渉が難航する場合や、法的なアドバイスが必要な場合は、専門家に相談しましょう。弁護士は、あなたの状況を詳しくヒアリングし、法的な観点から適切なアドバイスをしてくれます。厚生労働省の「総合労働相談コーナー」や、「労働基準監督署」などに相談することができます。

降格を受け入れた場合の注意点とリスク

やむを得ず降格を受け入れる場合でも、将来的に後悔しないために、いくつかの注意点とリスクを理解しておく必要があります。

給与や待遇の低下

パートへの降格によって、給与や待遇が大幅に低下する可能性があります。給与だけでなく、賞与、退職金、福利厚生なども減額される可能性があります。降格後の生活設計を立てておく必要があります。

キャリアへの影響

正社員としてのキャリアが中断されることで、将来的な昇進や昇給の機会が失われる可能性があります。また、転職活動をする際に、不利になる可能性もあります。降格を受け入れる前に、キャリアへの影響を十分に考慮する必要があります。

自己肯定感の低下

降格によって、自己肯定感が低下する可能性があります。特に、納得できない理由での降格の場合、精神的な負担が大きくなることがあります。降格を受け入れた後も、積極的に自己啓発に取り組んだり、趣味やボランティア活動に参加するなどして、自己肯定感を維持するように心がけましょう。

将来的な正社員復帰の可能性

会社によっては、パートから正社員への復帰制度を設けている場合があります。降格を受け入れる前に、将来的な正社員復帰の可能性について会社に確認しておきましょう。復帰制度がある場合でも、具体的な条件や手続きを確認しておくことが重要です。

降格を機に転職を検討する際のポイント

降格を機に、新たなキャリアを築くために転職を検討することも選択肢の1つです。転職を成功させるためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

転職理由を明確にする

転職活動をする際には、なぜ転職したいのか、その理由を明確にすることが重要です。降格されたことへの不満だけでなく、将来的にどのようなキャリアを築きたいのか、具体的な目標を設定しましょう。転職理由が明確であれば、履歴書や職務経歴書を作成する際に、説得力のあるアピールをすることができます。また、面接の際にも、自信を持って転職理由を説明することができます。

自分のスキルや経験を棚卸しする

転職活動を始める前に、自分のスキルや経験を棚卸ししましょう。過去の職務経歴を振り返り、どのような業務に携わってきたのか、どのような成果を上げてきたのかを具体的に書き出します。自分のスキルや経験を客観的に評価することで、どのような仕事に適性があるのか、どのような企業にアピールできるのかが見えてきます。

企業選びの軸を明確にする

転職先を選ぶ際には、企業選びの軸を明確にすることが重要です。給与、勤務時間、福利厚生、職務内容、企業文化など、自分が重視する項目を洗い出し、優先順位をつけましょう。企業選びの軸を明確にすることで、数多くの求人情報の中から、自分に合った企業を見つけやすくなります。

求人サイトを活用する

転職活動を効率的に進めるためには、求人サイトを活用することをおすすめします。求人サイトは、あなたの希望やスキルに合った求人情報を、好きな時間に効率的に探せます。無料で利用できるため、複数の求人サイトを活用し、自分に合った職場を見つけることが重要です。

まとめ:降格問題に冷静に対処し、自分にとって最善の道を選びましょう

正社員からパートへの降格は、多くの場合、従業員にとって試練となります。しかし、冷静に状況を判断し、適切な対応をとることで、あなたの権利を守り、より良い未来を切り開くことができます。この記事では、降格の違法性の有無、取るべき行動、転職の際の注意点などを解説しました。この記事が、あなたの悩みを解決し、前向きな一歩を踏み出すための助けとなることを願っています。

最も重要なことは、自分自身の気持ちを大切にすることです。降格問題に悩むあまり、心身ともに疲弊してしまうことのないよう、適度に休息を取り、信頼できる人に相談するなどして、ストレスを解消するように心がけましょう。