【派遣労働者必見】抵触日とは?リセットやクーリング期間の知識と対策

この記事では、派遣労働者や人事担当者の皆様へ向けて、派遣の抵触日をリセットするルールや手続きについて解説します。法令遵守と労働者の権利保護のための参考として、ぜひ最後までお読みください。

  1. 派遣労働の「抵触日」って何?
  2. 抵触日をリセットできるルールを知ろう
  3. 抵触日に影響されない派遣労働者とは
  4. 派遣先企業と派遣会社の義務
  5. 派遣労働者と企業が知るべき抵触日の影響
  6. 派遣の抵触日を正しくリセットする方法で適切な対応を

派遣労働の「抵触日」って何?

派遣労働における「抵触日」とは、派遣労働者が同一の派遣先で働ける期間の上限が終了した翌日のことです。このセクションでは、抵触日に関連する「3年ルール」とその背景にある理由について解説します。

派遣労働の3年ルールとは

派遣労働者が同一の派遣先で働くことができる期間は、原則として最長3年と定められています。これは「3年ルール」と呼ばれ、派遣労働者の雇用安定を支援するために設けられています。

(労働者派遣の期間)
第三十五条の三 派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣社員に係る労働者派遣(第四十条の二第一項各号のいずれかに該当するものを除く。)を行つてはならない。

引用:労働者派遣法|e-Govポータル

この期間が終了すると、派遣労働者は「抵触日」に達したとされ、原則としてその派遣先での勤務を終了しなければなりません。ただし、特定の条件下では期間の延長やリセットが可能です。

例えば、派遣先が派遣労働者を直接雇用する場合や、派遣先の異なる部署や職種に移動する場合などがこれに該当します。このルールを理解し適切に活用することで、派遣労働者の権利保護と企業の適正な人材管理が図られます。

参考:派遣先の皆様へ|厚生労働省

抵触日がある理由とは

「抵触日」が設けられている理由は、派遣労働者の雇用の安定化と正社員との均衡を図るためです。派遣労働は柔軟な雇用形態である一方で、長期間にわたる同一派遣先での勤務は、派遣労働者のキャリア形成や雇用の安定に影響をおよぼす可能性があります。

また、同じ現場で同じ仕事をしている正社員との不公平を防ぐためにも、一定期間を超える派遣は制限されています。このルールにより、派遣労働者は新たな職場での経験を積む機会を得ることができ、企業は長期にわたる派遣労働者の活用に際して、適正な雇用管理をおこなうことが求められます。

抵触日の存在を理解し、適切な対応を取ることで、派遣労働者と企業双方の利益を守ることができます。

抵触日をリセットできるルールを知ろう

派遣労働における抵触日をリセットできるルールは、派遣労働者の雇用安定とキャリア形成を支援するために重要です。このセクションでは、リセットの条件やクーリング期間、リセット時のメリットと注意点について詳しく解説します。

リセットの条件とクーリング期間

派遣労働者が同一の派遣先で働ける期間は、原則として3年が上限です。しかし、一定の条件を満たすことで、この期間をリセットし、再び同じ派遣先で働くことが可能になります。リセットの条件には、派遣先との間に3ヵ月以上のクーリング期間を設けることが含まれます。

参考:平成27年 労働者派遣法 改正法の概要|厚生労働省

クーリング間を経た後、派遣労働者は再び同じ派遣先で働くことができるようになりますが、派遣元企業と派遣先企業は、法令にもとづいた適切な手続きをおこなう必要があります。

リセット時のメリットと注意点

抵触日のリセットをおこなうことで、派遣労働者は長期にわたって安定した雇用を得ることができます。また、派遣先企業は、経験豊富な派遣労働者を継続して雇用することが可能になります。

しかし、リセットには注意点も存在します。例えば、派遣社員が希望しないのにもかかわらず、再び同じ派遣先に派遣させることなどの場合は、厚生労働省からの指導対象となることもあります。

参考:平成27年 労働者派遣法 改正法の概要|厚生労働省

クーリング期間に派遣労働者ができること

クーリング期間が終了すると、派遣労働者は再び同一の企業で働くことが可能になります。ただし、再度派遣されるためには、派遣会社と企業の間で新たな契約が必要です。

また、派遣労働者自身も、クーリング期間を利用してスキルアップや資格取得をおこない、より良い条件での再就業を目指すことができます。クーリング期間後の再就業は、派遣労働者にとって新たなキャリアのチャンスとなるため、積極的なキャリアプランニングが求められます。

抵触日に影響されない派遣労働者とは

派遣労働者のなかには、抵触日のリセットルールから特例として除外されるケースがあります。ここでは、そのような特例に該当する派遣労働者の条件について解説します。

無期雇用派遣労働者の特例

無期雇用派遣労働者は、派遣先企業での勤務期間に関わらず、抵触日のリセットの対象外となります。これは、無期雇用であるため、派遣労働者保護の観点から、一定期間勤務後に派遣先企業への直接雇用を促す「抵触日」の制度が適用されないためです。

無期雇用派遣労働者は、派遣会社との間で長期的な雇用契約を結んでおり、安定した雇用が保証されています。このため、派遣先企業での勤務が長期にわたっても、派遣契約を継続することが可能です。

60歳以上の派遣労働者のケース

60歳以上の派遣労働者も、抵触日のリセットルールから除外されるケースがあります。これは、高年齢者の雇用機会拡大という社会的な背景が影響しています。60歳以上の派遣労働者は、派遣先企業での勤務期間が3年を超えても、派遣契約を更新し続けることができます。

ただし、この特例が適用されるかどうかは、派遣会社と派遣労働者の契約内容や、派遣先企業の同意が必要となる場合があります。高年齢者の活躍を支援するためにも、この特例について正しく理解し、適切な対応を心がけることが重要です。

派遣先企業と派遣会社の義務

派遣先企業と派遣会社は、派遣労働者の権利を守るために、法律で定められた「抵触日」のルールを遵守する義務があります。このセクションでは、抵触日の通知方法と、抵触日後の派遣労働者の適切な扱いについて解説します。

抵触日の通知はどうおこなう?

派遣労働者が同一の派遣先で働ける期間は、原則として3年が上限です。この期間を超えると「抵触日」となり、派遣労働者はその派遣先での勤務を続けることができなくなります。派遣会社は、抵触日が近づいた場合、派遣労働者と派遣先企業に対して通知する義務があります。

この通知は、抵触日の少なくとも30日前におこなう必要があり、書面での確認が求められます。適切な通知をおこなうことで、派遣労働者は次の職場を探す時間を確保でき、派遣先企業も人員計画を立て直すことが可能になります。

意見聴取手続
派遣先は、同一の事業所において3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、延長しようとする派遣可能期間が終了する1か月前までに、事業所の過半数労働組合等から意見を聴く必要があります。
▶︎ 意見聴取方法
① 過半数労働組合等に対して、書面による通知※ を行わなければなりません。

引用:派遣先の皆様へ|厚生労働省

抵触日後の派遣労働者の扱い

抵触日を迎えた後、派遣労働者は原則としてその派遣先での勤務を続けることはできません。しかし、派遣会社は派遣労働者に対して新たな派遣先を提供する義務があります。また、派遣先企業は、抵触日を迎えた派遣労働者を直接雇用する選択肢も持っています。

このような対応をおこなうことで、派遣労働者は安定した雇用を維持し、派遣先企業は優秀な人材を確保することができます。適切な対応をおこなうことは、法令遵守だけでなく、企業の社会的責任を果たすことにもつながります。

派遣労働者と企業が知るべき抵触日の影響

派遣労働者と企業にとって、抵触日は重要な節目です。このセクションでは、抵触日がもたらす影響と、それにともなう派遣労働者の選択肢、企業の対策について解説します。

抵触日を迎えた後の派遣労働者の選択肢

派遣労働者が抵触日を迎えると、いくつかの選択肢が生まれます。まず、派遣先企業との直接雇用を目指すことができます。これは、派遣先企業が労働者のスキルや経験を高く評価し、正社員や契約社員として雇用するケースです。

また、派遣元企業に留まりつつ、新たな派遣先を探すことも可能です。この際、派遣元企業は労働者の希望や適性を考慮した上で、新しい職場を紹介する責任があります。さらに、派遣労働を離れ、独自に就職活動をおこなう選択もあります。どの選択をするにしても、抵触日のルールを理解し、自身のキャリアプランに合わせた判断が求められます。

派遣先企業が抵触日に対して取るべき対策

派遣先企業にとって抵触日は、派遣労働者の雇用管理における転換点となります。派遣先企業は、抵触日のルールを遵守し、派遣労働者の権利を尊重する必要があります。具体的には、派遣労働者が抵触日を迎えた場合、直接雇用への転換を検討するか、または派遣契約を終了し、新たな派遣労働者を受け入れるかの判断を迫られます。

直接雇用を選択する場合は、労働条件の交渉や契約の見直しが必要です。派遣契約を終了する場合は、業務の引き継ぎや新たな人材の確保に努めることが重要です。いずれにせよ、抵触日に備えた計画的な対策が、企業の人材管理の質を高め、法令遵守にもつながります。

派遣の抵触日を正しくリセットする方法で適切な対応を

派遣の抵触日をリセットすることは、派遣労働者が同一の派遣先で働ける期間に関するルールを理解することから始まります。この章では、派遣労働者と人事担当者がこのルールを正しく理解し、法令を遵守しながら労働者の権利を保護するための知識と対応策を解説します。

法令遵守と派遣労働者の権利保護

派遣労働者の権利を守り、企業が法令を遵守するためには、派遣の抵触日におけるリセットのルールを正確に理解することが不可欠です。

このルールは、派遣労働者が同一の派遣先で連続して働ける期間を定めており、一定の期間が経過するとリセットされることで、派遣労働者が不当な扱いを受けることなく、また企業が法律に違反することなく、派遣労働を継続できるようになっています。

このルールを遵守することで、派遣労働者の雇用の安定とキャリア形成を支援し、企業の社会的責任を果たすことができます。

派遣管理のポイントとは

派遣労働者を適切に管理するためには、派遣の抵触日におけるリセットのルールを踏まえた上で、以下のポイントを押さえることが重要です。まず、派遣労働者が同一の派遣先で働ける期間の上限を把握し、期間が満了する前に適切な手続きをおこなう必要があります。

また、リセットのタイミングで派遣労働者との契約内容を見直し、必要に応じて更新することも大切です。これにより、派遣労働者の権利を守りつつ、企業が法令違反を避けることができます。

まとめ:派遣の抵触日をリセットする知識を活かして適切な対応をしよう

派遣労働者の権利保護と企業の法令遵守を目的とした、派遣の抵触日をリセットするルールは、派遣労働の健全な運用に不可欠です。本記事では、派遣労働の3年ルールや抵触日の意義、リセットの条件、クーリング期間の過ごし方、企業の義務など、重要なポイントを解説しました。

これらの知識をもとに、派遣労働者は自身の権利を理解し、企業は適切な派遣管理をおこなうことが求められます。