「正社員として働きながら、もっと収入を増やしたい」「スキルアップのために複数の仕事に挑戦したい」そう考えて、ダブルワークに興味を持つ方は少なくありません。しかし、正社員としての本業を持ちながら、ダブルワークで週40時間以上働くことは、法律や就業規則、体力面などさまざまな注意点があります。
この記事では、正社員がダブルワークで週40時間以上働くことを検討する際に、知っておくべき法律上のルール、会社の就業規則、健康管理、確定申告などの注意点を徹底解説します。ダブルワークを始める前に抱える疑問や不安を解消し、自分に合った働き方を見つけましょう。
正社員がダブルワークすることは可能？
まず、正社員がダブルワークをすること自体は、法律で禁止されているわけではありません。法律で職業選択の自由が保障されており、原則として、どのような仕事をするかは個人の自由だからです。しかし現実には、会社の就業規則でダブルワークが禁止されていたり、制限されているケースがあります。
就業規則とは、会社が定める労働条件や服務規律に関するルールブックのようなものです。就業規則の内容は会社によって異なり、ダブルワークに関する規定もさまざまです。例えば、「ダブルワーク禁止」「ダブルワークをする場合は会社の許可が必要」「競合他社でのダブルワーク禁止」といった規定が設けられている場合があります。
したがって、ダブルワークを検討する際には、必ず会社の就業規則を確認し、ダブルワークに関する規定がないか確認する必要があります。就業規則にダブルワークに関する記載がない場合でも、念のため、上司や人事担当者にダブルワークを検討していることを相談することをおすすめします。
会社にダブルワークが禁止されている場合、隠れてダブルワークをすると、懲戒処分や、最悪の場合、解雇されることもあり得ます。ダブルワークが認められていない会社でダブルワークをしたい場合は、まずは会社と交渉し、認めてもらえるように働きかけることが大切です。
週40時間以上働く場合は労働時間の管理が重要
正社員として働きながらダブルワークをする場合、労働時間の管理は重要です。労働基準法では、1週間の労働時間は原則として40時間以内と定められています。この原則は、ダブルワークをする場合も適用されます。
つまり、正社員としての労働時間とダブルワークの労働時間を合計して、1週間あたり40時間を超える場合、時間外労働（残業）となります。時間外労働に対しては、会社は割増賃金を支払う必要があります。
例えば、正社員として週35時間働き、ダブルワークで週10時間働く場合、合計45時間となり、5時間分の時間外労働が発生します。この場合、ダブルワーク先は、5時間分の割増賃金を支払う義務があります。
しかし、ダブルワークの場合、どちらの会社が割増賃金を支払うのか、労働時間の管理はどうするのか、といった問題が発生する可能性があります。労働基準法では、労働時間の通算という考え方があり、複数の事業所で働く労働者の労働時間は、原則として通算されます。
したがって、ダブルワークをする場合は、それぞれの会社に労働時間を正確に申告し、労働時間の合計が週40時間を超えないように注意する必要があります。
正社員ダブルワークで週40時間以上働くメリット・デメリット
正社員として働きながらダブルワークで週40時間以上働くことは、メリットとデメリットの両方があります。
メリット
- ダブルワークで働くことで、収入を大幅に増やすことができる
- 本業とは異なる仕事に挑戦することで、新たなスキルを習得し、自己成長を促すことができる
- ダブルワークを通じて、さまざまな業界や職種を知り、将来のキャリアの選択肢を広げられる
- ダブルワーク先で新しい人々と出会い、人脈を広げられる
- 複数の仕事を持つことで生活に刺激が生まれ、充実感を得られる
デメリット
- 体力的に負担となる可能性がある
- 自由な時間が減り、趣味や休息に費やす時間が少なくなる
- ダブルワークに時間を費やしすぎると、本業に集中できなくなる可能性がある
- 複数の仕事を抱えることで、精神的なストレスを感じやすくなる場合がある
- ダブルワークが会社に禁止されている場合、トラブルに発展する可能性がある
ダブルワークで週40時間以上働くことは、メリットも大きいですが、デメリットも無視できません。自分の体力や時間、精神的な余裕を考慮し、慎重に検討する必要があります。
会社にバレずにダブルワークすることは可能？
「ダブルワークを会社に知られたくない」と考えるかもしれません。しかし、ダブルワークを隠して働くことは、さまざまなリスクをともないます。
まず、住民税の金額が変わることで、ダブルワークしていることが会社に伝わる可能性があります。住民税は、前年の所得にもとづいて計算されます。ダブルワークで収入が増えると、住民税の金額も増えるため、会社の経理担当者にダブルワークをしていることが気づかれる可能性があります。
また、副業先で労災事故が発生した場合、ダブルワークをしていることが発覚する可能性があります。労災保険は、業務上の災害に対して適用されます。ダブルワーク先でけがをした場合、労災保険を申請する際に、本業の会社名などを申告する必要があるため、ダブルワークをしていることがバレてしまいます。
会社でダブルワークを禁止していない場合は、やむを得ない事情があり「発覚を少しでも遅らたい」と思うことがあるかもしれません。ただし、事実を隠して働くことは、常にリスクをともなうことを理解しておく必要があります。
ダブルワークを成功させる秘訣
ダブルワークを成功させるためには、以下の点に注意して、働き方と求人を探すことが重要です。
目的を明確にする
ダブルワークをする目的を明確にすることで、仕事選びや働き方の優先順位を決めることができます。「収入アップ」「スキルアップ」「キャリアチェンジ」など、自分にとって何が重要なのかを明確にしておきましょう。
無理のない範囲で働く
最初から無理な労働時間を設定せず、徐々に労働時間を増やしていくようにしましょう。自分の体力や時間的な余裕を考慮し、無理のない範囲で働くことが大切です。
本業に支障が出ないようにする
ダブルワークに時間を費やしすぎると、本業に支障が出る可能性があります。本業の業務に集中できるように、ダブルワークの労働時間を調整しましょう。
ダブルワーク先とのコミュニケーションを密にする
ダブルワーク先とは、労働時間や業務内容について、密にコミュニケーションを取り、認識のずれがないようにしましょう。
ダブルワーク先を探すときのポイント
ダブルワークをする職場を探す際のポイントを解説します。
無理なく働ける職場を探す
ダブルワーク向けの求人を探す際には、「週20時間以内」「扶養内」などのキーワードで検索すると、自分の希望に合った求人が見つかりやすくなります。
ダブルワークの場合、本業とは異なる職種に挑戦することも多いため、「未経験歓迎」の求人を探すのがおすすめです。また、「シフト自由」の求人であれば、自分の都合に合わせて働くことができます。
なお派遣会社には、ダブルワーク向けの求人が多くあります。派遣会社に登録することで、自分の希望に合った求人を紹介してもらうことができます。
条件交渉をする
ダブルワークの求人に応募する際には、労働時間や給与、勤務条件などについて、積極的に交渉しましょう。自分の希望する条件を伝え、納得できる条件で働くことが大切です。
契約内容を確認する
ダブルワーク先と契約する際には、契約内容を確認しましょう。労働時間や給与、業務内容、契約期間など、重要な項目について、不明な点があれば、必ず確認するようにしましょう。
まとめ：ダブルワークで充実したキャリアを築こう
正社員として働きながらダブルワークで週40時間以上働くことは、決して簡単なことではありません。しかし、法律や就業規則、健康管理、確定申告などの注意点を理解し、計画的に取り組めば、収入アップ、スキルアップ、キャリアの幅を広げるなど、さまざまなメリットを享受することができます。
ダブルワークを成功させるためには、目的を明確にし、無理のない範囲で働き、本業に支障が出ないようにすることが重要です。また、ダブルワーク先とのコミュニケーションを密にし、求人サイトやエージェントを活用して、自分に合った求人を探すことが大切です。
この記事が、あなたがダブルワークを検討するうえで、少しでもお役に立てれば幸いです。ダブルワークを通じて、充実したキャリアを築きましょう。
