この記事では、正社員登用後に退職を考えている方へ向けて、よくある退職理由や手続きの流れなどについて解説します。「できるたけトラブルを避けたい」とお考えの場合は、ぜひ最後までお読みください。
正社員登用後の退職は可能？
何らかの理由で、正社員登用後に退職を考えることがあると思います。結論、登用後に退職することは可能です。ここでは、退職の権利や退職を考える前に知っておくべきことなどについて解説します。
法律で定められている退職の権利
正社員として働くうえで、退職は個人の権利として法律で保護されています。民法では、やむを得ない事情があれば労働者はいつでも契約を解除することが可能です。
（やむを得ない事由による雇用の解除）
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。
引用：民法｜e-Govポータル
また、雇用の期限がない場合は、2週間前に申し出れば契約を解除できるとされています。
（期間の定めのない雇用の解約の申入れ）
引用：民法｜e-Govポータル
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
ただし、会社と締結した労働契約を守ることが前提です。ルールに反していると退職が認められない可能性があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
退職に関する会社の規定をチェックする
会社によっては、正社員登用後の退職に関してルールを設けている場合があります。そのため、退職を考えた際には、まず自分が所属する会社の就業規則や雇用契約などを確認しましょう。不明点がある場合は、人事担当者や労働組合などに相談することで、適切な手続きをおこなうための情報を得られます。
正社員登用後に退職を考える理由とは？
ここでは、正社員登用後に退職を考える主な理由を3つの観点から解説します。
期待と現実のギャップを感じた
正社員登用された際、期待したキャリアアップや待遇改善と、実際の役割や環境が異なることがあります。具体的には、「昇進しても給与が思ったほど上がらなかった」「仕事の責任が重くなりすぎた」などが挙げられます。このようなギャップを感じた場合、自分のキャリアプランを再考し、場合によっては退職を選択することがあります。
仕事の負担が大きすぎた
正社員は、非正規雇用と比べて仕事の範囲とともに責任が大きくなる傾向があります。そのため、負担が原因で健康を害したり、プライベートの時間が持てなくなったりするケースがあります。仕事と生活のバランスを考えたとき、過度なストレスや疲労が続くようであれば、退職を含めたキャリアの見直しが必要です。
人間関係が合わなかった
職場の人間関係は、仕事の満足度に影響します。特に管理職になると、人間関係の構築がより複雑になるケースがあります。その結果、対人関係のストレスが原因で退職を考えることが少なくありません。このような状況にある場合は、信頼できる同僚や上司に相談するなどの対応が必要です。それでも解決しない場合は、自分自身の精神的な健康を守るために退職を選択する選択もあります。
正社員登用後の退職手続きの流れ
正社員として登用された後に退職を考える際は、適切な手続きが必要です。ここでは、退職したい意思の伝え方、必要な書類、退職後の保険手続きについて、順を追って説明します。
退職したい意思の伝え方とタイミング
退職を決意したら、まずは退職したい意思を上司に直接伝えることが大切です。タイミングとしては、退職希望日の少なくとも1ヵ月前が望ましいです。これは、会社が後任の手配や業務の引き継ぎをスムーズにおこなうために必要な期間です。伝え方は、正式な退職願を提出する前に口頭で意思を伝え、理解を求めることが大切です。その後、退職願を書面で提出し、正式な手続きに移ります。
必要な書類と手続きの詳細
退職にはいくつかの書類が必要です。まず、退職願を提出します。会社から承諾を受けたら、雇用契約書や社内規定を確認し、退職に関する規定があればそれに従います。また、退職日が決まったら、社内の関連部署に退職の連絡をおこない、必要な手続きを進めます。これには、社内のIDカードや機器の返却、未払いの給与や有給休暇の清算などが含まれるため注意しましょう。
雇用保険と社会保険の手続き
退職する際は、雇用保険と社会保険の手続きをおこなう必要があります。雇用保険については、会社から雇用保険被保険者離職票を受け取ったあと、住所を管轄するハローワークにて求職の申し込みをおこないます。社会保険に関しては、退職日の翌日をもって健康保険と厚生年金の資格が喪失するため、国民健康保険や国民年金に加入する手続きをおこなう必要があります。
参考：雇用保険の具体的な手続き｜ハローワークインターネットサービス
参考：従業員が退職・死亡したとき（健康保険・厚生年金保険の資格喪失）の手続き｜日本年金機構
退職前に検討すべきポイント
正社員登用後に退職を考える際には、いくつかの重要なポイントを検討する必要があります。以下では、退職の影響と退職後の生活設計について詳しく解説します。
退職の影響を考える
正社員として働き始めたばかりの方が退職を考える際には、その決断が将来に与える影響を理解することが大切です。まず、退職によってキャリアにブランクが生じる可能性があること、また次の職を探すまでの経済的な不安が残ることなどを考慮する必要があります。さらに、退職理由が将来の就職活動にどのように影響するかも重要です。例えば、正社員登用後すぐの退職は、次の雇用主に対して不安を与える場合があります。そのため、退職理由を明確にし、次のステップに向けての準備を整えることが求められます。
退職後の生活設計を立てる
退職を決意した後は、退職後の生活設計を具体的に立てることが大切です。退職後に直面するであろう経済的な変化に備え、貯金の状況や支出の見直しをおこないましょう。また、退職後の時間をどのように過ごすかも計画しておくと、より安心です。新たな職を探す場合は、職務経歴書の更新やスキルアップのための勉強など、具体的な行動計画を立てることが望ましいです。退職後の生活を充実させ、安心して次のステップへと進むためには、退職前に具体的な計画を立てることが大切です。
退職を決めた後のキャリアプラン
正社員登用後に退職を考える際は、次のステップに向けたキャリアプランを慎重に立てることが重要です。以下では、再就職活動の始め方、スキルアップのための学習方法、求人サイトの利用メリットについて詳しく解説します。
再就職活動の始め方
正社員登用後の退職を考えた場合、再就職活動は早めに始めることが大切です。まずは自己分析をおこない、どのような職種や業界に興味があるのか、自身の強みや経験を活かせる場はどこかを明確にしましょう。次に、履歴書や職務経歴書などの準備を整え、求人情報を収集します。求人サイトや転職フェア、人材紹介会社などを活用することで、効率的に情報を得られます。
スキルアップのための学習方法
退職後のキャリアアップを目指すなら、スキルアップは欠かせません。現在のスキルを見直し、必要な資格取得や研修への参加を検討しましょう。オンライン講座や通信教育などを利用すれば、自宅で効率的に学習を進めることが可能です。また、業界団体や専門学校が提供するセミナーやワークショップなどに参加することで、実践的なスキルや最新の知識を身につけることもできます。
求人サイトを利用するメリット
求人サイトの利用には、いくつかのメリットがあります。空いた時間を利用して求人情報を検索できるため、効率的に転職活動をおこなえます。また、相談サービスがあれば、業界の動向や企業情報に精通している人から意見を聞きながら、自分に合った求人を探せます。専門家のサポートを受けることで、転職活動の不安を軽減し、次のキャリアステップへと進むための後押しを得られます。
まとめ：正社員登用後の退職は慎重に進めよう
この記事では、正社員登用後に退職を考える際の心構えから手続きの流れなどを幅広く解説しました。退職は大きな決断です。期待と現実のギャップ、仕事の負担、人間関係など、退職を考える理由は人それぞれですが、一度自身の状況を振り返り、将来の生活設計を考慮することが重要です。あなたの次のステップが、より良い未来への一歩となるよう、適切な準備と行動を心がけましょう。
