正社員登用制度とは、パートや契約社員、派遣社員など非正規雇用として働く従業員を、正社員として採用する制度のことです。正社員を目指す方にとって希望を持てる制度であるものの、詳細や実態がわからず不安に思うことがあると思います。
本記事では、正社員登用の基礎知識やメリット・デメリットなどをまとめました。「正社員登用制度について詳しく知りたい」とお考えの方は、ぜひお読みください。
当サイトでは、正社員の求人情報を公式LINEで発信しています。好案件の情報をいち早く配信していますので「自分にぴったり合う仕事を見つけたい」という方は、まずは以下のボタンから友だち登録してみてください。
正社員登用制度とは?

冒頭でお伝えしたとおり、正社員登用制度とは、非正規雇用の従業員を正社員として採用する制度のことです。非正規雇用には、パート・アルバイト・契約社員・派遣社員などが含まれます。
厚生労働省が令和6年に発表した調査によると、正社員登用制度を導入している事業所の割合は76%です。すべての企業にこの制度があるわけではありませんが、「取り入れている企業が多い」といえます。
正社員登用制度と無期転換ルールの違い
正社員登用制度と混同しやすい制度として挙げられるのが、「無期転換ルール」です。正社員登用制度と無期転換ルールには、次のような違いがあります。
正社員登用制度 | 無期転換ルール |
---|---|
・非正規雇用の従業員が正社員になることを目指す制度 ・制度の導入や登用基準は、企業が決める | ・有期雇用労働者の労働契約を、無期限にする制度 ・有期労働契約が5年を超えて更新された場合、労働者からの申し込みすれば転換できる ※使用者(企業)が断ることはできない |
無期転換ルールとは、有期雇用労働者が通算5年を超えて勤務した場合に、無期雇用契約への転換を申し込める制度です。正社員と同様に雇用期間に定めがありませんが、業務の範囲や待遇が正社員とは異なる場合があります。
これらの違いを理解したうえで、自分が求めている働き方はどちらなのか検討してみてください。
参考:パートタイム・有期雇用労働法の概要、有期契約労働者の無期転換サイト
正社員と契約社員の違い
正社員と契約社員の違いは、「雇用期間」と「待遇」です。
正社員も契約社員も企業に直接雇用されますが、正社員は雇用期間に定めがありません。一方で、契約社員は有期雇用で最長3年と労働基準法第十四条で定められています(専門技術が必要な特定の職種や、満60歳を超える人は5年まで)。
また、正社員は、「ボーナスが支給される」「福利厚生の種類が多い」など待遇が充実している傾向がありますが、契約社員は企業によって待遇が異なります。
正社員と契約社員の違いについては以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
正社員登用制度の実態
ここで、正社員登用制度の実態について解説します。「労働経済動向調査(令和6年2月)の概況」によると、正社員登用の実績がある事業所は、調査産業計で50%でした。
産業別の実績例は以下のとおりです。
- サービス業(他に分類されないもの)58%
- 医療・福祉:56%
- 生活関連サービス業・娯楽業:54%
- 製造業:53%
- 学術研究、専門・技術サービス:52%
実は、正社員を募集(または必要と)している事業所が77%あるのに対し、登用実績がない事業所は50%です。その最たる理由は、「正社員以外の労働者から応募がなかったから」でした。
この結果からは、正社員登用に積極的な企業がある程度あるにもかかわらず、応募がないことで採用が進んでいないという状況が見えます。
少子高齢化によって労働力が不足するなか、優秀な人材の確保・定着が多くの企業の課題になっていると考えられます。自分が働きたい企業が正社員登用制度を導入しているかどうかを、企業のホームページや求人情報などで確認してみましょう。
正社員登用の実績については以下の記事でも解説しているので、こちらも参考にしてください。
正社員登用の流れ

正社員登用を目指す際は、まず働きたい企業に正社員登用制度があるかを確認しましょう。その後は以下の流れで登用まで進みます。
- 正社員登用の条件を満たす
- 正社員登用を希望する旨を担当者に伝える
- 決められた書類を提出する
- 正社員登用試験を受ける
- 合格したら正社員として働くための手続きをおこなう
正社員登用に応募する条件としてよくあるのは、一定期間以上働くことです。ただし、企業によって基準や流れが異なるため、応募先に確認しておくことがおすすめです。
正社員登用試験の概要
正社員登用でよくある試験内容は、下記のとおりです。
選考プロセス | 評価ポイント |
---|---|
書類選考 | 経歴・社内での実績・正社員を志望する動機など |
筆記試験 | 業務に関する能力・文章作成能力・一般常識・性格適性など |
面接 | 人物像・コミュニケーション能力など |
正社員登用を目指す際は、自社の試験を理解して万全な対策を講じることで採用が近づきます。ただ、企業によって内容が異なるので、自社のルールは人事部などの担当者に確認してみてください。
人によっては「筆記試験より面接が苦手」という場合があると思います。そのような方に向けて、面接でよくある質問や回答のコツを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
正社員登用試験で評価される基準
正社員登用試験で判断基準になりやすいのは、以下のような要素です。
- 企業の理念や目標に共感しているか?
- 仕事に真摯に向き合い、実績を出しているか?
- 高いコミュニケーション能力があるか?
- 指示待ちではなく、自ら考えて行動する主体性があるか?
正社員に登用されるためには、「企業がどのような人物を求めているのか」を理解することが重要です。企業は単に業務をこなすだけではなく、企業の成長に貢献できる人材を求めています。
コミュニケーション能力や主体性を試験管へ伝える方法として、志望動機があります。志望動機の書き方については以下の記事で解説していますので、こちらも参考にしてください。
正社員に登用される4つのメリット

ここでは、非正規雇用から正社員に登用されるメリットとして、以下の4つを紹介します。
- 収入が安定する
- 福利厚生が充実する
- 社会的な信用度が向上する
- キャリアアップする可能性が高まる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1. 収入が安定する
正社員になると、収入が安定しやすいといえます。一般的に、正社員の給料は「月給制」が採られますが、有期雇用労働者は「時給制」であることが多いです。
働いた時間に応じて給与が支払われる時給制に対して、月給制は給料が月間の労働時間に左右されないため、安定しやすいといえます。
また、多くの企業では、勤続年数や能力に応じて正社員の給与が上がっていくことが一般的です。さらに「賞与(ボーナス)」や「退職金」が支給されるケースがあるため、一生を通じた総収入は有期雇用労働者よりも、正社員のほうが高くなりやすいです。
メリット2. 福利厚生が充実する
正社員は、有期雇用労働者よりも受けられる福利厚生の幅が広い傾向があります。福利厚生には、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類があります。
法定福利厚生の例 | 法定外福利厚生の例 |
---|---|
・労働者災害補償保険(労災保険) ・雇用保険 ・健康保険 ・介護保険 ・厚生年金保険 ・健康診断 ・産前産後休業(産休) ・育児休業(育休) ・介護休暇 | ・住宅手当の支給 ・社員寮の提供 ・ハネムーン休暇 ・リフレッシュ休暇 ・書籍購入費の補助 など |
法定福利厚生は、有期雇用労働者でも法律で定められた条件を満たしていれば、福利厚生を受けることが可能です。一方で法定外福利厚生は、企業が任意で労働者に提供するものなので、対象が正社員に限られているケースがあります。
以上のことから、一般的に有期雇用労働者から正社員になると、福利厚生が充実しやすいといえます。ただし、企業によってルールが異なるため、事前に確認しておくと安心です。
メリット3. 社会的な信用度が向上する
有期雇用労働者から正社員になると社会的な信用度が向上する点も、メリットとして挙げられます。
例えば、住宅ローンの審査では、安定した収入が見込める正社員のほうが有利になる傾向があります。また、クレジットカードの審査においても、一般的には正社員のほうが審査に通りやすいです。
以上のように、金融機関からの信用を得やすいことは、マイホームの購入や事業のための資金の借り入れなど、将来の選択肢を広げることにもつながります。
メリット4. キャリアアップする可能性が高まる
企業では、正社員のスキルアップを促進する目的で、社内外から講師を招き研修を実施することがあります。研修で得た知識を活かして仕事の成果を上げられた場合は、より責任のある仕事や専門的な業務を任されるケースが珍しくありません。
こうしてスキルや経験を身に付けることで、社内で昇進・昇格したり別の企業に転職したりと、キャリアアップする可能性を高められるのも、正社員の利点といえます。
正社員に登用される2つのデメリット

正社員に登用されることで、下記のようなデメリットが生じることもあります。
- 責任の範囲が広くなり仕事量が増える
- 転勤や異動でライフスタイルが変わることがある
ここでは、それぞれ詳しく見ていきます。
デメリット1. 責任の範囲が広くなり仕事量が増える
正社員として登用されると、より責任のある仕事を任される傾向があります。これは自身の成長につながる一方、精神的な負担が増加する可能性も否めません。
また、今まで残業が少なかった部署でも、任される仕事の範囲が広がることで残業が増える可能性があります。
デメリット2. 転勤や異動でライフスタイルが変わることがある
正社員になって契約が変わることで、転勤や異動を命じられることがあります。転勤は、慣れ親しんだ土地を離れて新たな環境で生活をスタートするため、人によっては大きな負担になりかねません。
また、異動によって仕事内容が大きく変わるケースもあり、これまで培ってきたスキルや経験が活かせないと不満に感じる可能性があります。
正社員登用に関するよくあるQ&A

最後に、正社員登用に関するよくある質問にお答えします。
Q1. 「正社員登用あり」としている求人は、本当に正社員になれる?
「正社員登用あり」と記載されていても、必ず正社員になれるとは限りません。登用に必要な基準を満たす必要があるためです。もし企業の登用実績を知りたければ、ホームページで確認したり面接で質問したりする方法も検討してみてください。
正社員登用が成功する確率については以下の記事で解説しています。こちらもぜひお読みください。
Q2. どんな人が正社員に登用されやすい?
仕事への責任感や積極性があり、成果を上げている人が評価されやすいです。加えて、「コミュニケーション能力」「企業理念への共感度」「貢献意欲」なども重視されます。
正社員に登用されたいのであれば、自身のスキルを磨き市場価値を高めることも大切です。落ちる人によく見られる特徴を以下の記事で紹介していますので、あわせて参考にしてください。
Q3. 正社員への登用を辞退することはできる?
正社員登用は、辞退することが可能です。ただ、一方的に辞退を申し出ると企業との関係が悪化する恐れがあるため、慎重に判断しましょう。
できるだけトラブルを回避する方法については以下の記事で解説していますので、こちらもお読みください。
まとめ:正社員登用制度を活用して理想のキャリアを実現しよう!

企業が正社員登用制度を導入していれば、非正規雇用から正社員を目指すことが可能です。正社員になることで、以下のメリットを得られます。
- 収入が安定する
- 福利厚生が充実する
- 社会的な信用度が向上する
- キャリアアップする可能性が高まる
ただし、正社員に登用されることだけが、自分にとってベストな選択だとは限りません。責任や仕事量の増加を負担に感じる場合は、契約社員や派遣社員として働くことが合っていることもあります。
そこで当サイトでは、正社員や契約社員から派遣社員まで好条件の求人情報を公式LINEで発信しています。自分にとってベストなワークライフバランスを見つけられるよう、幅広いお仕事情報をいち早く配信しているので、まずは以下のボタンから友だち登録してみてください。