働き方が多様化する現代において、正社員として安定した収入を得ながら、自分のスキルや興味を活かして副業に取り組みたいと考えることがあると思います。しかし、副業を禁止している企業が存在するのが現状です。「正社員の副業は本当に禁止されているのか?」といった疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、正社員の副業に関する企業のルールについて、法律的な側面から、企業側の視点、そして実際に副業をおこなう際の注意点まで、幅広く解説します。副業を検討している方はもちろん、副業禁止のルールに疑問を感じている方も、ぜひ最後までお読みください。
正社員の副業は違法?法律と就業規則の境界線
法律で正社員の副業を一律に禁止する規定はありません。ただし、公務員の場合は、国家公務員法や地方公務員法によって副業が制限されています。
(私企業からの隔離)
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
引用:国家公務員法|e-Govポータル
一方、民間企業の場合は、法律で副業が禁止されているわけではありませんが、就業規則で副業を制限または禁止している企業が存在します。就業規則は、労働契約の内容を具体的に定めたものであり、企業と従業員の間で合意されたルールとして効力を持ちます。そのため、就業規則で副業が禁止されている場合、従業員は原則としてそのルールに従う必要があります。
副業禁止の就業規則は有効?
就業規則で副業が禁止されている場合でも、その規定が常に有効とは限りません。副業禁止の規定が、従業員の権利を不当に侵害していると判断される場合は、無効になる可能性があります。例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 休日や就業時間外に、本業とはまったく関係のない趣味程度の副業をおこなう場合など
- 副業によって企業の利益が損なわれる可能性が低い場合など
- 企業にとってもメリットがあると考えられる場合など
ただし、これらのケースはあくまで例外であり、個別の状況によって判断が異なります。副業を検討する際は、まず就業規則を確認し、副業が禁止されている場合は、企業側にその理由を確認することが重要です。
企業が正社員の副業を禁止する理由
法律で副業が禁止されているわけではないにもかかわらず、多くの企業が就業規則で副業を制限または禁止するのはなぜでしょうか。企業側の視点から、副業を禁止する主な理由を解説します。
本業への支障
副業をすることで、従業員の労働時間が増加し、疲労やストレスが蓄積される可能性があります。その結果、集中力や判断力が低下し、本業でのパフォーマンスに悪影響をおよぼすことが懸念されます。特に、高度な専門知識やスキルを必要とする業務の場合、副業による疲労が重大なミスや事故につながるリスクも考えられます。
また、副業に時間を費やすことで、本業に必要なスキルアップや自己啓発の時間が削られる可能性もあります。長期的に見ると、従業員の成長が阻害され、企業の競争力低下につながることも考えられます。
情報漏洩のリスク
企業にとって、機密情報や顧客情報の漏洩は、事業継続を脅かす重大なリスクです。従業員が副業をおこなうことで、これらの情報が外部に漏洩する可能性が高まります。特に、競合他社での副業や、情報セキュリティ対策が不十分な企業での副業は、情報漏洩のリスクを増大させます。
多くの企業では、就業規則で競業避止義務を定めています。これは、従業員が在職中に、または退職後に、競合他社で働いたり、競合する事業を立ち上げたりすることを禁止するものです。
参考:第5回 働き方・人への投資ワーキング・グループ 議事次第|内閣府
副業が会社にバレる主な原因
副業をする際は、就業規則を守っておこなうことが原則です。ただ就業規則で許されていても、事情があり会社に秘密にしておきたいケースがあると思います。ここでは、副業が会社にバレる主な原因と、その対策について解説します。
住民税の増加
住民税は、前年の所得にもとづいて計算されます。そのため、副業で収入を得ると、住民税が増加し、会社に通知される可能性があります。特に、給与所得として副業収入を得ている場合は、住民税が自動的に給与から天引きされるため、会社が把握する可能性が高まります。
うわさが広まる
副業をしていることを同僚や知人に話してしまうと、噂が広まり、会社にバレる可能性があります。どうしてもバレたくないのであれば、副業をしていることを誰にも話さないことが最も確実です。また、SNSで副業に関する情報をうっかり発信しないようにしましょう。
対策としては、副業に関する情報をSNSで発信しないことが最も安全です。どうしても発信したい場合は、匿名でアカウントを作成し、個人情報や会社名が特定できないように注意しましょう。
副業をする上での注意点
副業を始める前には、以下の点に注意しましょう。
就業規則の再確認
副業を始める前に、必ず就業規則を確認しましょう。副業が禁止されている場合でも、例外規定があるケースが考えられます。また、副業をおこなう際に、企業に申請が必要な場合もあります。
本業への影響を最小限に
副業によって、本業に支障をきたさないように注意しましょう。睡眠時間を削ったり、体調を崩したりすると、本業でのパフォーマンスが低下する可能性があります。
情報管理の徹底
副業で得た情報や、会社の情報を外部に漏洩しないように注意しましょう。情報漏洩は、企業にとって重大な損害を与える可能性があります。
確定申告の準備
副業で収入を得た場合は、確定申告が必要になります。確定申告をスムーズにおこなうために、日頃から収入や経費を記録しておきましょう。
副業以外にも収入を増やす方法
副業以外にも、収入を増やす方法はいくつかあります。
資格取得
資格を取得することで、専門性を高め、収入アップにつなげることができます。自分のキャリアプランに合った資格を取得し、市場価値を高めましょう。
昇進・昇給
現在の企業で昇進や昇給を目指すことも、収入を増やす方法の1つです。積極的に仕事に取り組み、実績を上げることで、評価を高めましょう。
転職
現在の給与に不満がある場合は、転職を検討することも1つの選択肢です。自分のスキルや経験を活かせる企業を探し、給与アップを目指しましょう。
まとめ:賢く選択し、充実したワークライフバランスを
正社員の副業は、法律で一律に禁止されているわけではありませんが、多くの企業では就業規則で制限または禁止されています。副業を検討する際は、まず就業規則を確認し、副業が禁止されている場合は、企業側にその理由を確認することが重要です。
就業規則で認められていても、事情があって副業を秘密にしておきたい場合は、対策を講じることが重要です。また、副業以外にも収入を増やす方法はいくつかあります。自分の状況や希望に合わせて最適な選択肢を選びましょう。
副業をすることで、収入が増えるだけでなく、スキルアップや自己成長にもつながります。しかし、本業に支障をきたしたり、健康を害したりする可能性もあります。副業をおこなう際は、バランスを考え、無理のない範囲で取り組むようにしましょう。