【正社員】ダブルワークで週40時間超えて働くのは違法?注意点を解説

近年、働き方改革や個人のキャリア形成意識の高まりから、ダブルワークは魅力的な選択肢となりつつあります。しかし、正社員として本業を持ちながらダブルワークをおこなう場合、労働時間など注意すべき点がいくつか存在します。そこで本記事では、正社員のダブルワークにおける労働時間管理の重要性や、週40時間ルール、割増賃金の計算方法などをまとめました。ダブルワークを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

deインスタントカメラ有名な会社でのお仕事/時給2,000円!/交通費全額支給/1晩20,000円!

ダブルワークにおける労働時間管理の重要性

ダブルワークをおこなううえで、労働時間の管理は重要です。なぜなら、労働基準法によって、労働者の労働時間には上限が定められており、それを超えた場合、企業は法律違反となる可能性があるからです。また、長時間労働は、労働者の健康を害するリスクも高まります。過労による体調不良や精神的な負担は、本業にも支障をきたし、結果的にパフォーマンスの低下につながることも考えられます。

さらに、労働時間の管理が不十分だと、割増賃金の未払いや、労災事故が発生した場合の責任問題など、様々なトラブルに発展する可能性があります。企業側としては、ダブルワークを許可するだけでなく、労働時間管理を徹底し、従業員が安心して働ける環境を整備することが重要です。

参考:労働時間・休日に関する主な制度|厚生労働省

労働基準法における労働時間のルール

労働基準法では、労働時間について、1日8時間、週40時間を上限とする「法定労働時間」が定められています。

(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

引用:労働基準法|e-Govポータル

これは、原則として、すべての労働者に適用されるルールであり、正社員、アルバイト、パートなど、雇用形態に関わらず適用されます。

労働時間を週40時間とするルールは、労働者の健康と福祉を守るために設けられたものです。長時間労働は、心身の疲労を蓄積させ、さまざまな健康障害を引き起こす原因となります。そのため、労働時間を制限することで、労働者が十分な休息を取り、健康的な生活を送れるように配慮されています。

ただし、例外的に、労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、法定労働時間を超えて労働させることが可能です。しかし、36協定を締結した場合でも、時間外労働には上限が設けられており、無制限に労働させられるわけではありません。

参考:副業・兼業の促進に関するガイドライン|厚生労働省

参考:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

労働時間の計算方法

ダブルワークの場合、労働時間の計算方法は、本業と副業の労働時間を合算します。

(時間計算)
第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

引用:労働基準法|e-Govポータル

例えば、本業で週30時間、副業で週20時間働いている場合、合計で週50時間となり、法定労働時間を10時間超過していることになります。

この場合、企業は時間外労働に対する割増賃金を支払う必要があります。割増賃金の計算方法については後述しますが、労働時間を正確に把握し、適切な賃金を支払うことが重要です。また、従業員自身も、自分の労働時間を把握し、過重労働にならないように注意する必要があります。

厚生労働省のガイドラインでは、企業は労働者の副業・兼業について、原則としてこれを容認する方向で検討することが望ましいとされています。しかし、副業・兼業を容認する場合でも、労働時間管理を適切におこない、従業員の健康確保に配慮することが求められます。

ダブルワークにおける割増賃金の計算方法

ダブルワークで週40時間を超えて労働した場合、割増賃金が発生します。割増賃金とは、法定労働時間を超えた時間外労働や、法定休日に労働させた場合に、企業が労働者に支払う必要がある賃金です。割増賃金の計算方法は労働基準法第三十七条で定められており、通常、以下のようになります。

  • 時間外労働:25%以上。月60時間以上の場合は50%以上
  • 深夜労働(22時~5時の労働):25%以上
  • 休日労働:35%以上

ダブルワークの場合、どの企業が割増賃金を支払うのかという点が問題になります。原則として、労働時間を通算して、後から労働契約を結んだ企業が、割増賃金を支払ことが原則です。

割増賃金支払いの企業側の注意点

企業側としては、ダブルワークをしている従業員の労働時間を正確に把握し、適切な割増賃金を支払うことが義務付けられています。もし、割増賃金の支払いを怠った場合、労働基準法違反となり、罰則が科せられる可能性があります。

また、割増賃金の未払いは、労働者からの訴訟リスクを高めるだけでなく、企業のイメージダウンにもつながる可能性があります。そのため、ダブルワークを許可している企業は、労働時間管理体制を強化し、割増賃金の計算方法を明確にしておくことが重要です。

ダブルワークの労働時間管理における注意点

ダブルワークの労働時間管理を適切におこなうためには、企業と従業員が協力して、以下の対策を講じることが重要です。

従業員による正確な申告

従業員は、本業と副業の労働時間を企業に正確に申告する義務があります。企業は、従業員からの申告にもとづき労働時間を把握し、割増賃金の計算をおこなう必要があります。そのため企業は、従業員が申告しやすいように申告方法を明確にし、従業員への周知を徹底することが重要です。

また企業は、従業員からの申告だけでなく、客観的なデータにもとづいて労働時間を把握するように努める必要があります。例えば、勤怠管理システムを導入し、従業員の出退勤時間を記録したり、パソコンのログを分析したりすることで、労働時間を把握することができます。

ダブルワークに関する規定の明確化

ダブルワークを許可する企業は、就業規則を見直し、ダブルワークに関する規定を明確化することが重要です。就業規則には、ダブルワークの許可条件や、労働時間に関するルール、割増賃金の計算方法などを明記する必要があります。就業規則を明確化することで、従業員は、安心してダブルワークをおこなうことが可能です。また、企業は、就業規則にもとづいて、労働時間管理を行うことができるため、労務トラブルを未然に防げます。

まとめ:ダブルワークは計画的に、企業と従業員が協力して労働時間管理を

ダブルワークは、収入の複線化やスキルアップなど、さまざまなメリットがありますが、労働時間管理を適切におこなわないと、法律違反や健康被害のリスクがあります。企業は、労働時間管理体制を強化し、従業員が安心して働ける環境を整備することが重要です。従業員は、本業と副業の労働時間を企業に正確に申告し、過重労働にならないように注意する必要があります。ダブルワークは、計画的におこない、企業と従業員が協力して労働時間管理をおこなうことで、より充実した働き方を実現することができます。