子どもの小学校入学を迎え、「小学生がいるのに、正社員として働くのは無理なの?」と、不安になる子育て世代がいるのではないでしょうか。保育園時代とは異なり、小学校では保護者がかかわる機会が増え、新たな課題も生まれてきます。この記事では、なぜ、小学生を育てながら正社員として働くのは無理といわれるのか、その背景にある課題について掘り下げていきます。
小1の壁とは? 保育園との違いと保護者が直面する課題
「小1の壁」とは、子どもが小学校に入学する際に、保護者が直面するさまざまな問題のことです。保育園時代は、預かり時間が長く、夏休みなどの長期休暇も保育園で対応してくれましたが、小学校ではそうはいきません。以下のような課題に直面します。
- 学童保育の問題:学童保育の定員が限られており、希望しても入れない場合がある
- 放課後の過ごし方:学童保育に入れなかった場合、子どもだけで留守番させるか、ファミリーサポートなどを利用する必要がある
- 長期休暇の対応:夏休みなどの長期休暇は、保護者が仕事を休むか、学童保育や民間の預かりサービスを利用する必要がある
- 学校行事への参加:授業参観、運動会、PTA活動など、学校行事への参加が求められる
- 宿題のサポート:小学校の宿題は、保護者が付き添って教える必要がある場合もある
- 子どもの体調不良:子どもは体調を崩しやすく、急な発熱などで仕事を休まなければならない場合がある
- PTA活動:役員決めやイベントの準備などが発生し、時間的な負担が増える
これらの課題は、共働き家庭にとって大きな負担となります。特に、学童保育の問題は深刻で、待機児童数は依然として存在し、解決が急務となっています。
参考:令和7年度 放課後児童クラブの実施状況(速報値)|こども家庭庁
共働き夫婦の働き方と収入
小1の壁に直面したとき、働き方を変えるか、あるいはそのまま正社員を続けるか、多くの夫婦が悩むことになります。ここでは、共働き夫婦の働き方と収入の実態をデータから見ていきましょう。
内閣府の調査によると、共働き世帯の割合は年々増加傾向にあり、2020年には約7割に達しています。しかし、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」という理由で、非正規の職員・従業員として働いている人は男性より女性が多いです。一方で、女性の収入は男性に比べて低い傾向にあることもわかっています。
これらのデータから、共働き夫婦は経済的な安定を求めていますが、小1の壁が女性のキャリアに影響を与えている可能性がゼロではないと推測できます。
参考:労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)4~6月期平均|総務省統計局
仕事と育児を両立するための方法
小1の壁はたしかに大きな課題ですが、決して乗り越えられない壁ではありません。ここでは、仕事と育児を両立するための具体的な方法を紹介します。
小学校入学前の準備
小学校入学前に、以下の準備をおこないましょう。
- 学童保育の情報収集:早めに学童保育の見学に行き、入所条件や費用などを確認する。複数の学童保育を検討し、子どもに合った場所を選ぶ
- ファミリーサポートの登録:ファミリーサポートに登録し、送迎や預かりを依頼できる体制を整える
- 家事代行サービスの検討:家事代行サービスを利用し、家事の負担を軽減する。定期的な利用だけでなく、必要な時にスポットで利用することも可能
- 子どもとの話し合い:小学校生活について、子どもとよく話し合い、期待や不安を共有する
不安を完全に拭うことは難しいかもしれません。でも、1つでも準備をしておくことで小学校入学後の生活がスムーズになり、子どもだけでなく保護者の不安も軽減することができます。
家族、職場、地域社会との連携
仕事と育児を両立するためには、周囲の協力が不可欠です。
- 夫婦間の協力体制:家事や育児の分担について、夫婦で話し合い、協力体制を築く
- 職場の理解と協力:上司や同僚に、子どもの状況を伝え、理解と協力を求める。必要に応じて、時短勤務やフレックスタイム制度の利用を検討する
- 身内のサポート:祖父母や親戚などに送迎や預かりを依頼できる場合は、積極的に頼る
周囲と連携を取ることで、負担を軽減できる場合があります。
柔軟な働き方とキャリアプランの見直し
正社員として働き続けることが難しい場合は、柔軟な働き方を検討することも有効です。
- 時短勤務:勤務時間を短縮し、時間に余裕を持てるようにする
- フレックスタイム制度:出勤時間や退勤時間を自由に調整し、自分のライフスタイルに合わせた働き方をする
- 在宅勤務:自宅で仕事をし、通勤時間を削減する
- 派遣社員やパートタイム:正社員にこだわらず、派遣社員やパートタイムとして働くことも選択肢の1つ
キャリアプランを見直し、長期的な視点で自分の働き方を考えることも重要です。例えば、子どもが小さいうちは、時短勤務やパートタイムを選択し、子どもが成長したら、再び正社員としてフルタイムで働くという方法もあります。
まとめ:子どもが小学生でも、自分らしい働き方を見つけよう
「小学生で育てながら正社員として働くのは無理」と聞くと、不安になるのは無理もありません。ですが、この機会に冷静に考え自分がどのように働きたいかを考えることが重要です。小1の壁はたしかに大きな課題ですが、事前の準備、周囲の協力、そして柔軟な考え方を持つことで、必ず乗り越えることができます。子どもとの時間はもちろん大切ですが、自身の人生も大切です。あきらめる前に、1つでも課題を解決する方法がないか検討してみましょう。