【正社員】有給休暇の給料はいくらもらえる?給与計算の疑問を解説

「有給休暇を取得したいけど、給料がどうなるか不安」と考えていませんか?正社員として働くうえで、有給休暇を取得することは誰しもあると思います。一方で、給料がいくらもらえるのか、どんな計算方法が適用されるのか、疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

この記事では、正社員が有給休暇を取得した際に受け取る給与について解説します。計算方法や通勤手当の取り扱い、さらには有給休暇の買取に関する例外的なケースまで、網羅的にご紹介します。「安心して有給休暇を取得したい」とお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。

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有給休暇(有休)取得日に支払われる給与の3つの計算方法

有給休暇を取得した日に支払われる給与の計算方法は、労働基準法第三十九条で定められており、主に以下の3つの方法があります。

  1. 通常の賃金を支払う
  2. 平均賃金を支払う
  3. 標準報酬日額を支払う(労使協定が必要)

それぞれの計算方法には、メリット・デメリットがあり、どの方法を採用するかは、会社の就業規則で定められていることが一般的です。まずは、それぞれの計算方法について詳しく見ていきましょう。

「通常賃金」の場合

通常賃金を支払う方法は、その名のとおり、有給休暇を取得した日も、通常の勤務日と同じように給料が支払われるというものです。月給制の場合、基本給が変わることはありません。日給制や時給制の場合は、その日の所定労働時間分の給料が支払われます。

通常賃金を支払う場合、就業規則にその旨を明記する必要があります。例えば、「年次有給休暇を取得した労働者には、通常の労働日に労働した場合に支払われる賃金を支払う」といったような規定が必要です。

「平均賃金」の場合

平均賃金を支払う方法は、過去3ヵ月間の給与総額を、その期間の総日数で割って算出された金額を支払うというものです。

▼平均賃金の計算式

  • 平均賃金=過去3ヵ月間の賃金総額÷過去3ヵ月間の総歴日数

月給・日給・時給のいずれも同じ方法で計算するため、わかりやすいです。ただ、過去3ヵ月間の給与が低い場合、通常賃金よりも給与が少なくなる可能性があるので、事前に計算方法を把握しておくことが大切です。

「標準報酬日額」の場合

標準報酬日額を支払う方法は、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額を30で割って算出された金額を支払うというものです。標準報酬月額とは、社会保険料を計算する際の基準となる金額で、毎年4月から6月の給与をもとに決定されます。

▼標準報酬日額の計算式

  • 標準報酬日額=標準報酬月額÷30

社会保険料の計算と連動しているため、計算が比較的簡単な方法です。ただし、標準報酬日額を適用するには、事前に労使協定を締結する必要があります。また、就業規則にもその旨を明記する必要があります。例えば、「年次有給休暇を取得した労働者には、健康保険法に定める標準報酬日額を支払う」といった規定が必要です。

給与体系別の有給休暇中の給与計算

有給休暇中の給与計算は、給与体系によっても異なります。ここでは、代表的な給与体系である月給制、日給制、時給制、歩合給について、それぞれの場合の計算方法を詳しく解説します。

「月給制」の場合

月給制の場合、有給休暇を取得しても、基本給が変わることはありません。ただし、皆勤手当や精勤手当など、出勤日数に応じて支給される手当がある場合は、有給休暇を取得した日数に応じて減額されることがあります。

▼ポイント

  • 基本給は変わらない
  • 皆勤手当や精勤手当は減額される可能性がある
  • 欠勤控除がないか確認する

「日給制」の場合

日給制の場合、有給休暇を取得した日には、その日の所定労働時間分の給与が支払われます。

▼計算式

  • 有給休暇中の給与=日給×所定労働時間

▼ポイント

  • 所定労働時間を確認する
  • 残業代は発生しない

「時給制」の場合

時給制の場合、有給休暇を取得した日には、時間給にその日の所定労働時間を掛けた金額が支払われます。

▼計算式

  • 有給休暇中の給与=時給×所定労働時間

▼ポイント

  • 所定労働時間を確認する
  • 休憩時間は含まれない

通勤手当の扱いはどうなる?

通勤手当は、通勤にかかる費用を補助するものであり、有給休暇を取得した場合の支給の有無は、会社の就業規則によって異なります。そのため、通勤手当の取り扱いについては、事前に会社の就業規則を確認しておくことが重要です。

時間単位年休の給与計算

時間単位年休とは、1日単位ではなく、時間単位で有給休暇を取得できる制度です。この制度を利用した場合の給与計算は、通常の有給休暇と同様に、通常賃金、平均賃金、標準報酬日額のいずれかの方法で計算されます。ただ会社が導入するには、労使協定の締結が必要なので、就業規則に時間単位年休の給与計算方法が明記されているか確認しておきましょう。

参考:時間単位の年次有給休暇制度導入促進リーフレット|厚生労働省

有給休暇の買取

法律で決められている有給休暇の買取は、原則として禁止されています。これは、有給休暇が労働者の心身のリフレッシュを目的としているため、金銭で解決することは、その趣旨に反すると考えられているためです。

▼例外的に買取が認められるケース例

  • 退職時に残っている有給休暇
  • 法律で定められた日数を超えて付与された有給休暇
  • 時効によって消滅した有給休暇

これらの例外的なケースを除き、有給休暇の買取は認められていません。また、例外に該当する場合であっても、会社が買取をしなければならない義務はないため注意しましょう。

有給休暇の金額が間違っていた場合の対処法

有給休暇の金額が間違っていた場合、まずは会社の担当者に相談し、原因を確認してもらいましょう。

▼相談する際の注意点

  • 給与明細などの証拠書類を用意する
  • 会社側の説明をメモする

もし担当者の説明に納得できない場合は、労働基準監督署に相談することも1つの方法です。

まとめ:有給休暇の給与を理解して、賢く権利を活用しよう

この記事では、有給休暇を取得した際に受け取る給与について、詳しく解説しました。

  • 給与計算方法は、通常賃金、平均賃金、標準報酬日額の3つがある
  • 給与体系によって、計算方法が異なる
  • 時間単位年休や通勤手当の取り扱いにも注意が必要
  • 有給休暇の買取は原則禁止(例外がある)
  • 有給休暇の金額が間違っていた場合は、まず会社に相談する

有給休暇の給与について理解することで、安心して休暇を取得し、ワークライフバランスを充実させることができます。ぜひこの記事を参考に、自身の権利を賢く活用してください。